2022年のパソコンはどう進化する? OSもCPUも世代交代が進むWindows PC MacはAppleシリコンに完全移行へ:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/2 ページ)
2021年は、Windowsが久々のメジャーアップデートを果たし、IntelのCoreプロセッサが第12世代へ進み、Appleシリコンはその適用範囲を高性能ノートまで広げた。その延長線上にある2022年のパソコン動向はどうなるのか。
いよいよApple独自SoCに完全移行するMac
2022年に実際の製品として何を選ぶかはともかく、技術面での興味の度合いでいえば、やはりAppleがどのようにして、プロフェッショナル向けを含めたデスクトップ機のラインアップを独自SoCへと収れんさせるかである。
デスクトップのMac Proがカバーしている領域は幅広い。CPUのさらなる並列化が求められるアプリケーションもあれば、GPUの依存度が高い処理、あるいはメモリ容量の大きさが求められる領域など、導入する目的に応じてスイートスポットとなるスペックが異なる場合が多いという意味だ。
ノートであるMacBook Proの場合、そこをある程度、ざっくりと見切ってモバイルワークステーションに求められる具体的なアプリケーションを想定した上で、必要な処理回路を全て1つのチップにまとめてしまうという、実に大胆な、チップ単体を販売する企業ではできない力業でM1を拡張した。それが「M1 Pro」と「M1 Max」だ。
SoCを構成する基本的なコンポーネントはM1そのままに、高性能コアを増やして高効率コアを半減させ、GPUコア数が異なる2つのバリエーションを作った。それぞれメディアエンジンと呼ぶ動画処理に特化した回路を組み込んだ上で、ターゲットとする性能(稼働させるコア数)に合わせてメモリチャンネルを増やしている。DRAMも同一基板に統合したまま64GBまで載せてしまった。
M1だからこそできたと思われた超コンパクトにまとめたアーキテクチャを、プロ向けアプリケーションに求められるレベルにまで引き上げたのだ。
とはいえ、このままMac Proの領域まで突っ走れるとは到底思えない(と昨年も同じことを書き、新型MacBook Proで裏切られた記憶があるが)。M1でさえトランジスタ数は160億個だったが、M1 Maxでは570億個だ。ダイの面積はM1の3.5倍にも達する。名称も「Max」と付けられていることを考えれば、この上はないだろう。
そもそも、Mac Proには搭載メモリ容量はもちろん、CPU、GPUの処理容量に関してもスケーラビリティ(拡張性)が求められる。その場合、複数チップをネットワーク化する何らかのインタフェース技術を導入するのではないか。
ただし、AppleはMac Pro(およびiMacの高性能モデル)を発売する前に、MacBook Airのアップデートを行うだろう。
このときにはA14 Bionic(iPhone 12に採用)向けのCPU・GPUコアをベースにしていたM1からグレードアップし、A15 Bionic(iPhone 13に採用)以降のCPU・GPUコアやNeural Engine、ISPなどを基に、Mac向けに再構築するSoCへと切り替わるのではないかと予想している。
そもそも本当にMacBook Airが刷新されるのか、という話もあるが、恐らくはM2という名称になるだろう次世代Apple Mシリーズが、その答えのヒントをもたらしてくれると期待したい。
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