新型MacBook Airの魅力をデザインと性能で読み解く:M2搭載新モデルをチェック(1/3 ページ)
Apple M2を搭載した新型MacBook Airが、ついに発売となる。実機に触れた林信行氏が新モデルを読み解いた。
最も手頃なノート型Macとなる「MacBook Air」は、Appleいわく最新の出荷データではWindows搭載PCを含む世界の全ノートPCの中で、最も売れているノートPCだという。
どんな用途もこなせる妥協なきパフォーマンス、ファンを省いて無音で自然冷却する設計思想、薄くて軽くて頑丈なアルミ削り出しのユニボディー成形――2008年の初代モデル以来、基本の設計思想は変わっていなかったが、シリーズ誕生15周年を前に、過去最大規模のデザイン刷新が行われた。
第2世代Apple Siliconの「M2」を搭載し、Apple Silicon時代の、これからのノートPCのあり方を考え、製品デザインを根本から見直した形だ。
デザインとパフォーマンスの両方の視点から、新型MacBook Airの魅力に迫ってみたい。
撮影:中村祥一(なかむら しょういち)
ARUKA PRODUCTIONS 代表/映像作家/写真家/ラジオディレクター/CS60クリエイティヴディレクター
撮影協力:グローカルホテル糸島
基本の形からミリ単位のディテールまで刷新
下が従来の翼型のMacBook Air。上に載っているのが新しいボックス型のM2搭載MacBook Air。新モデルでは、2.6mmほど奥行きも長くなっている。今回使ったのは、明るいところに置くと青みが浮かび上がるミッドナイトだ。3.5mmのヘッドフォン端子は、従来モデルと同じように見えて、ハイインピーダンスヘッドフォンにも対応している
新旧のMacBook Airを並べた。奥行きをわずか2.6mm長くしただけで、フルハイトのファンクションキーを収めた秘密を探ってみると、トラックパッドのサイズやキーボードとの間の隙間など、ものすごく細かな調整をしていることが分かった(撮影:林信行)
M2搭載のMacBook Air(左)とMacBook Pro(右)。液晶ディスプレイを閉じた状態での外観は、かなり近づいた印象があるが、MacBook Airは天板が平らでゴム足の分、浮いているため本体は薄い。MacBook Proはこの容積差を利用してファンを内蔵しているのが最大の違いだ(撮影:林信行)
MacBook Airといえば、14年前に当時CEOだった故スティーブ・ジョブズ氏が製品の薄さを強調すべく茶封筒から取り出して製品を発表したときから、前後が薄く中央部が厚い飛行機の翼のような形を基本としていた。
これに対して新モデルは全ての面がフラットなボックス型で、パッと見た形の印象はMacBook Proシリーズに近づいた。
すぐに見て分かる外観上の違いは、新色のミッドナイトやスターライトを含む合計4種類のカラーバリエーションと、キーボード両脇のスピーカーグリルがなくなったことだ。キーボード上部にあるファンクションキーは、これまでのハーフサイズのものではなく、14/16インチMacBook Proと同じフルハイトの正方キーに変更されている。
画面サイズも、13.3型から13.6型とわずかではあるが大きくなり、画面解像度が2560×1664ピクセルと、縦方向にほぼメニューバーのサイズに相当する64ピクセル広がっている。その代わり、メニューバーの中央にはビデオ会議などに使えるFaceTime HDカメラを収めたノッチ(データ表示できない黒いエリア)がある。
側面部分を見ていこう。向かって右側にマイク/ヘッドフォン端子、左側に2基のThunderbolt 3/USB4ポートという点は同じだが、Thunderbolt 3/USB4ポートの奥に、新たに充電用のMagSafe 3の端子が追加された。本体充電中でもThunderbolt 3/USB4ポートがまるまる2基空いているのはうれしい仕様変更だ。
それにしても、見た感じトラックパッドの大きさもほとんど変わらないのに、どうやってこの本体サイズにフルハイトのファンクションキーを収めることができたのだろうか。
調べてみると、本体の奥行きが2.6mmだけ大きくなっていたり、キーボードの位置が少しだけ画面側に寄っていたり、キーボードとトラックパッドの間の隙間が2mmほど詰められている。さらに、ほぼ同じ大きさに見えるトラックパッドも縦方向に2mm小さくなり(その代わり横方向には8mm近くも大きくなっていたり)と、ものすごく細かい再デザインの痕跡を発見できた。
このように新MacBook Airでは、根本となる形からミリ単位のディテールまで徹底的な見直しが行われていることが分かる。
次のページでは、それぞれの変更について、さらに深く見てみよう。
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