「ストリートファイターV」は、今やモバイルPCのCPU内蔵GPUでプレイできるようになってしまった:ゲームプレイと実況配信ライブにも挑戦(2/5 ページ)
格闘ゲームの世界大会「EVO Japan 2023」にも採用されたゲームタイトル「ストリートファイターV」。これを最新のモバイルPCで快適に楽しむことはできるのか、またプレイしながらの実況配信もできるのかを試してみた。
Ryzen 7 6800HSのCPU内蔵GPUってどのくらいの性能?
今回、ASUS JAPANからお借りしたGV301RAは、CPUにRyzen 7 6800HSを採用しているので、その内蔵GPUは「Radeon 680M」ということになる。
このRadeon 680M、どの程度の性能があるのかについて軽く解説しておこう。
「低性能」なイメージのCPU内蔵GPUだが、最近は、その性能向上が著しい。あのIntelも第12世代/11世代CoreプロセッサのCPU内蔵GPUの「Intel Iris Xe Graphics」もかなり高性能になったし、最近話題のApple M1/M2チップの内蔵GPUは単体GPUに迫る高性能ぶりをアピールしている。
では、このRadeon 680Mはどうか。
型番数値が3桁なので、そのイメージは薄いかもしれないが、実は、このRadeon 680M、AMDの最新GPU製品であるRadeon RX 6000シリーズ直系の「RDNA2」アーキテクチャを継承しているのだ。
そう、つまり、このRadeon 680M、内蔵GPUにもかかわらず、ハードウェアレイトレーシング機能を搭載しているのである。
といっても、過大な期待は禁物だ。やはりCPU内蔵GPUなので、単体GPUを上回るほどの高い性能があるわけでもない。では逆に、どの程度の性能があるのだろうか。
Radeon 680Mは、GPUコアに含まれるシェーダープロセッサ(Stream Processorとも。以下、SP)クラスタが12基ある。このクラスタはAMD用語ではCU(Compute Units)と表現されるが、AMDのRDNA系GPUでは各CUが64SPを内包するので、総SP数は
12CU×64SP=768SP
となる。
Ryzen 7 6800HS内蔵のRadeon 680Mは最大2.2GHzで駆動するため、ここからその理論性能値を算出できそうだ。
AMDのRDNA系GPUの各SPは、1クロックあたり2FLOPS(積和算)を演算できるので
768SP×2FLOPS×2.2GHz=3379.2GFLOPS
と計算できる。よく用いられるTFLOPS(テラFLOPS)換算すると、四捨五入して約3.4TFLOPSといったところになる。
この連載の最初の方で、自作した「5万円台スト5PC」で用いたGPUは、AMDのRadeon RX 570で、理論性能値は約5.1TFLOPSだった。この時のGPU選定の方針は「PlayStation 4 Proの4.2TFLOPSは超えておきたい」だったが、Radeon 680Mは約3.4TFLOPSだ。微妙に足りないことになる。
ただ、標準となるPS4は約1.8TFLOPSだったので、約3.4TFLOPSはPS4の2倍近くの性能があることになるので、「全く性能が足りない」ということにもならなそうだ。
検証するのには“丁度いい”対象である。
CPU内蔵GPUでスト5をフルHD/60fpsでプレイするための条件は?
GV301RAのセットアップ後、一通りのWindowsアップデートや、AMD関連ドライバーの更新を終えた後、まずやってみたのが「ストリートファイターVベンチマーク」(以下、スト5ベンチ)だ。ダウンロードは公式配布サイトから行う。
グラフィックス設定は解像度をフルHD(1920×1080ピクセル)に、グラフィックス品質を「最高」として 実行したところ、結果は以下のようになった。
平均フレームレートは59.40fpsだった。なんと、プレイ可能な「PERFECT」判定が下された。
ついにCPU内蔵GPUで、妥協なしセッティングでスト5がプレイできるようになったというわけだ。ちなみに、スト5ベンチでは59.00fpsを下回るとプレイ不可判定がなされるようになっている。極端なことをいうと、59.01fpsはOK判定だが、58.99fpsはNG判定となる。
まあ、今や単体GPUであれば、Radeon RX 6500 XT、GeForce RTX 3050/GTX 1660などのエントリークラスGPUでもスト5は60fpsでプレイできるので、そのプレイ感を重んじるならば、60fps張り付きのセッティングを探りたいところだ。
関連記事
- Core i9+GeForce RTX 3050 Ti内蔵! タブレットPCに生まれ変わった「ROG Flow Z13」を試す
CES 2022で発表されたASUS JAPANのゲーミングPC「ROG」シリーズのうち、日本で投入された新モデルの中から、最もユニークなタブレットPC「ROG Flow Z13」をチェックした。 - ASUS、Ryzen 7 6000シリーズを採用したゲーミングノート7製品を発表
ASUSは、同社製ゲーミングノートPC「ROG Zephyrus」「ROG Flow」シリーズなどに最新モバイルRyzen搭載モデル7製品を追加した。 - 13.4型のゲーミングPCに外付けGPUユニットを用意! ASUSの「ROG FLOW X13」を試す
ASUS JAPANの2in1ゲーミングモバイルPC「ROG FLOW X13」 (GV301)は、別売の外付けGPUユニット「ROG XG Mobile GC31」と合体させられる、非常にユニークなモデルだ。 - ASUSから第12世代Core搭載のゲーミングノートPCが続々登場
ASUS JAPANのゲーミングPC「ROG」シリーズが、Intelの最新プロセッサを搭載した新モデルに生まれ変わった。今回投入されるモデルをチェックした。 - ASUS、ゲーミングノート7製品を最大4万円値上げ 部材調達の影響により
ASUS JAPANは、ゲーミングノートPCの一部製品について価格改定を実施した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.