究極の液タブは55万円! ワコムの新モデル「Cintiq Pro 27」をプロ絵師がレビュー(4/6 ページ)
ワコムから待望の新型液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro 27」が登場した。発売に先立ち、イラストレーターのrefeiaさんが実機を試してみた。新モデルの出来栄えは、いかに?
「ペンの位置調整」が存在しない?
もしかしたら自分の見落としかもしれませんが、従来のモデルであった、十字の模様を4回クリックする座標キャリブレーションの機能が省かれているようです。ペン先とカーソルは最初から合っているので不要とも言えますが、実はカーソル位置は人それぞれ微妙に好みがあります。
自分は「空想上ペン先派」です。「ペンの位置調整」で十字の少し右をクリックすることで実現していました。もう、ユーザーが座標キャリブレーションをする時代ではない気はしますし、ずらしておかなくても問題なく描けますが、座標のオフセット設定ぐらいができるとよりうれしいな、という気がします。
iPad Proと競える低遅延
ついにここまで来ました。注目の、遅延のチェックです。まずはいつものWindows Paintで試しましょう。ここでは120Hzの効果を見るために60Hz接続でも測っています。
いやー速い。比較に使った「Cintiq Pro 16」の2017年モデルは、Cintiq Proの中でおそらく最も遅いモデルなので、少し参考にしづらいです。
Cintiq Pro 24や、他社の十分に速いモデルはだいたい7フレーム程度になるので、Cintiq Pro 27は60Hz接続においても従来機よりわずかに速いです。
ならば、同じく120Hzで、ペンの反応が良いと評判のiPad Proとの比較はどうでしょう。手元にあるのは2020年モデルで、現行より1世代古いですが、メモアプリや、CLIP STUDIO PAINTの軽いブラシを単純なレイヤーで描くには十分な処理能力があると想定しています。
アプリや処理が違うので、簡単に勝ち負けを言うことはできません。ですが「液タブは実感としてiPadより遅い。ペン先と描線が離れて見える」や、「OSからハードまで統合設計のiPadには、液タブで勝負はできない」は、もはやそうとも言えないのは分かると思います。
今回は軽いブラシのみでテストしましたが、PC性能が足を引っ張って重くなるシーンでは相対的に恩恵が減ります。本機の高速性を生かしたいなら、十分な性能を備えたPCを組み合わせるのが良いでしょう。
アプリが120Hzに対応しているかは別の話
PhotoshopとCLIP STUDIO PAINTは、現状のバージョンではディスプレイが120Hzでも描線の更新間隔は60Hz程度でした。一方、純正メモアプリでは、描線は120Hzで更新されていました。高リフレッシュレートの時代は始まったばかりなので、お絵描き用途でフルに恩恵が得られるようになるのはまだ先になりそうです。
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