日本HPの「HP 970 Programmableワイヤレスキーボード」に感じたスリムキーボードの新たな可能性(3/3 ページ)
日本HPから、薄型でスタイリッシュなモデル「HP 970 Programmableワイヤレスキーボード」が発売された。このワイヤレスモデルは見た目重視なのか、それとも実用重視なのか、実際に試してみた。
ハイセンスなデザインとちょっとした「クセ」
HP970を試用して感じたことは、ハイセンスなデザインと高級感、それとちょこちょこと散見される微妙な「クセ」だ。筆者はレビュー記事を執筆のために各社のキーボードに触れる機会が多い方だと思うが、HP970では「あれ、ここはこうなのか」と、他社製品と比べて意外に感じる箇所が多かったという印象がある。本稿で触れなかったものでは、Fnキーロックがその一例だ。
最上段に位置するメディアキーを、Fnキー同時押しでファンクションキーとして利用することはノートPCでも一般的だが、キー単体で押したときの動作とFnキー同時押しのときの動作の入れ替え、つまり、キー単体でファンクションキーとして、Fnキー同時押しでメディアキーとして動作するように変更できる製品も多い。
広く調べたわけではないが、FnキーロックはFnキー+Escキーに割り当てられていることが多いように思う(当該キーにはFnと錠マークが書かれているのではないだろうか)。外付けコンパクトキーボードにも見られる機能だが、HP970の場合はFnキー+左Shiftキーというちょっと変わったキーがアサインされている。この操作にどうにも引っかかりを感じていたのだが、その理由は単体で機能しないキーの2つ押しにある。
我々が修飾キーを使用する場合は、一般キーよりも微妙に先に修飾キーを押している。そうでないと一般キーが単体で反応してしまうからだ。Windowsキーは修飾キーではないが、単体で押したときにはキーが離れた時に反応するため、修飾キーのようにWindowsキーを先に押しても問題ない。
だが、Fnキーと左Shiftキーの場合はどちらを先に押せばいいのか迷ってしまわないだろうか。正解はFnキー→左Shiftキーの順だ。よく考えてみればキーボード側で処理されるFnキーを先に押すべきだということは理解できるのだが、「あれ、どっちだっけ?」と戸惑ってしまう。
もっとも、FnキーロックはHP Accessory Centerでオン/オフを切り替えたり、起動時に自動的にオンにしておいたりすることも可能なため、そこまで大きな問題ではない。「クセ」と表現したのは、問題なのではなく、他との相違点に過ぎないからだ。
その一方で、HP Accessory Centerの完成度はあまり高いとは言い難い。メインのボタン割り当て機能はともかく、クリップボードの共有は想定用途がよく分からない。そのような中途半端な機能を搭載するよりも、設定を共有/同期、あるいはエクスポート/インポートする仕組みを提供した方が有意義であるように思う。
また、ローカライズについても少し使っただけで目に付く不備がある。1つは、設定画面上のキーボードレイアウトが英語配列であることだ。カスタマイズできるキーは日英共通の配置なので利用上は問題ないのだが、「日本語配列に読み替えてください」というのは、ついメーカーにとっての日本市場の扱いがどうなのか、と考えてしまう。
なお、メーカー公式の製品ページの画像も英語配列の写真が使用されているが、これは他のメーカーでもしばしば見られるものなのでそこまで気にはならなかった(ちなみに、同社の製品紹介ページやAmazonの販売ページでも写真が英語配列のままとなっているため、購入時は気をつけたい)。
そして2つ目は、キーシンボルが化けてしまっているものが散見されることだ。こちらも細かな部分ではあるが、やや気になったところである。
HP Accessory Centerは今後も更新が可能なソフトウェアなので、現時点での出来映えがHP970の評価に直接影響を及ぼすものではない。何より、HP970のハイセンスなデザインには人を引きつける魅力がある。
同社の直販価格は税込み1万6420円と安くはないが、美しいシルバーの外観にグッと来た人は、購入を考えてみてはいかがだろうか。
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