新しいBingにみるMicrosoftのAI戦略:Windowsフロントライン(3/3 ページ)
MicrosoftとOpenAIの話題が飛び交っているが、Microsoftの製品で実際にどのように利用されていくのか。その一例として「Bing」を見ていこう。
OpenAIのリソースをどう活用していくか
検索エンジンでの活用は比較的分かりやすい事例だが、OpenAIで開発されたものを今後もMicrosoft製品へと取り込んでいくと、どのようなことが可能になるのだろうか。冒頭で挙げたMicrosoft Designerもそうだが、分かりやすいのは2月1日(米国時間)に正式リリースされた「Microsoft Teams Premium」だ。
Teamsはもともと有料なので(Microsoft 365契約が必要)、Premium“ティア”を作ってさらに課金してもユーザーが利用するのかと当初提供のうわさがあった頃に考えていたのだが、リリースに関するBlogの解説を読んである程度納得できた。シンプルにGPT-3.5ベースの学習モデルで強化されるAI機能を使い、よりTeamsでの生産性を上げていこうというわけだ。
具体的には、会議の内容のテキスト起こしのみならず「まとめ」機能が追加されたり、チャプターの自動付与やマーカーによるタイムラインが生成されたり、スピーカーごとの発言マーカーなど、人による議事録の作成が不要になるだけでなく、再配布時の発言内容確認など、AIならではの支援機能が至れり尽くせりとなる。
こうした機能は今後も追加が予定されており、メモやタスクの自動生成なども行われ、一種の個人アシスタントのようなものが実装される。最近はPowerPointなどもテキストメモと画像をページに適当に貼り付ければプレゼンテーションが自動生成されるなど、かなり自動化が可能になっているが、人がやると面倒なタスクは全てコンピュータに任せてしまえといった勢いさえ感じる。
今後どのような形でOpenAIの研究成果がMicrosoft製品に反映されていくかは、まだまだ未知数な部分が大きいが、GPTによる学習モデルは「人に近い文章理解力」をコンピュータにもたらすため、Teamsの例にもれず、これまで面倒ながらも人が直接手をかけないとできなかったようなタスクをある程度機械に割り当てられるようになる。
個人的にはメールやスケジュール処理をもっと自動化してほしいと思うが、おそらくそう遠くないタイミングで「ライバルに差を付ける機能」としてMicrosoft側で実装してくることだろう。
そして本稿を執筆後に、MicrosoftがAI関連のイベントを2月7日(現地時間)に開催し、一部のメディアに招待状を発送したという報道があった。一方のGoogleも2月8日(現地時間)に同様のイベントを開催予定であり、この分野での動きはまだまだ続きそうだ。
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