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AMDが新型CPU「EPYC Embedded 9004シリーズ」を発表 エッジコンピューティング/工場用サーバ向け
AMDが「EPYC 9004シリーズ」の組み込み機器向けモデルを発表した。エッジコンピューティングや工場で使われるサーバで利用することを想定して、冗長性を高める機能を追加搭載した他、7年間の長期供給に対応している。
AMDは3月14日(米国太平洋時間)、新型の組み込み機器用CPU「EPYC Embedded 9004シリーズ」を発表した。エッジコンピューティングや工場で使われる各種サーバでの利用を想定した製品で、一部の顧客を対象とするサンプル出荷は既に始まっている。一般出荷は4月から順次始まる予定だ。
EPYC Embedded 9004シリーズの概要
EPYC Embedded 9004シリーズは、先行して登場した「EPYC 9004シリーズ」の組み込み機器向けという位置付けだ。組み込み機器で使うことを前提として、EPYC 9004シリーズから以下の機能を追加している。
- NTB(Non-Transparent Bridging)をサポート
- 2台のCPUユニットによる冗長構成に対応
- NVDIMM(Non-Volatile Dual In-Line Memory Module)-Nをサポート
- 不意な電源障害が発生した際に、メモリの内容を保存可能
- デュアルSPI(Serial Peripheral Interface)をサポート
- UEFI(BIOS)用のROMを冗長構成にできる
加えて、用途を踏まえて7年間の長期供給計画が立てられている。
他の主な仕様はEPYC 9004シリーズと同様で、以下の通りとなる。
- CPUコアは「Zen 4アーキテクチャ」ベース
- 最大で96コア192スレッド構成
- L2キャッシュは1コア当たり1MB(最大96MB)
- L3キャッシュは8コア(CCD1基)当たり32MB(最大384MB)
- AVX-512命令に対応(VNNI/BFLOAT16演算に対応)
- メインメモリはDDR5-4800規格をサポート
- ECC(エラー訂正機能)付きモジュールに対応
- 1チャンネル当たり2枚のDIMMを搭載可能
- 最大12チャンネル構成に対応
- PCI Express 5.0は最大128レーン(x16レーン×8本)
- デュアルCPU構成の場合、合計で最大160レーン(x16レーン×10本)
- レーンの一部をSerial ATAレーンまたはCXL 1.1+レーンに振り替えることも可能
EPYC Embedded 9004シリーズのラインアップ
EPYC Embedded 9004シリーズのラインアップは以下の通りとなる。なお、モデル名のルールはEPYC 9004シリーズと同様である。
シングルプロセッサ専用(EPYC Embedded 9004Pシリーズ)
- EPYC Embedded 9354P(32コア64スレッド)
- 動作クロック:3.25GHz〜3.8GHz
- L3キャッシュ:256MB
- TDP(熱設計電力):240〜300W(定格は280W)
- EPYC Embedded 9454P(48コア96スレッド)
- 動作クロック:2.75GHz〜3.8GHz
- L3キャッシュ:256MB
- TDP:240〜300W(定格は290W)
- EPYC Embedded 9554P(64コア128スレッド)
- 動作クロック:3.1GHz〜3.75GHz
- L3キャッシュ:256MB
- TDP:320〜400W(定格は360W)
- EPYC Embedded 9654P(96コア192スレッド)
- 動作クロック:2.4GHz〜3.7GHz
- L3キャッシュ:384MB
- TDP:320〜400W(定格は360W)
デュアルプロセッサ対応
- EPYC Embedded 9124(16コア32スレッド)
- 動作クロック:3GHz〜3.7GHz
- L3キャッシュ:64MB
- TDP:200〜240W(定格は200W)
- EPYC Embedded 9254(24コア48スレッド)
- 動作クロック:2.9GHz〜4.15GHz
- L3キャッシュ:128MB
- TDP:200〜240W(定格は200W)
- EPYC Embedded 9354(32コア64スレッド)
- 動作クロック:3.25GHz〜3.8GHz
- L3キャッシュ:256MB
- TDP:240〜300W(定格は280W)
- EPYC Embedded 9454(48コア96スレッド)
- 動作クロック:2.75GHz〜3.8GHz
- L3キャッシュ:256MB
- TDP:240〜300W(定格は290W)
- EPYC Embedded 9554(64コア128スレッド)
- 動作クロック:3.1GHz〜3.75GHz
- L3キャッシュ:256MB
- TDP:320〜400W(定格は360W)
- EPYC Embedded 9654(96コア192スレッド)
- 動作クロック:2.4GHz〜3.7GHz
- L3キャッシュ:384MB
- TDP:320〜400W(定格は360W)
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