iPad1つで本格的な映像制作と音楽制作がこれまでになく身近に:Final Cut ProとLogic ProのiPad版先行レビュー(2/2 ページ)
Appleから、iPadシリーズ向けに映像制作アプリ「Final Cut Pro」と音楽制作アプリ「Logic Pro」がリリースされた。サブスクリプションモデルとなった両アプリを実際に試してみた。
Logic Pro:たった1台のiPadで音楽制作の全てをこなす
一方で音楽制作アプリのLogic ProもiPadに対応した。多くのプロミュージシャンが実際に曲作りに使っている本格的なソフトだ。正直にいうと、筆者はこのアプリのレビューはMac版もあまり使っておらずレビュアーには適任ではない。
そもそも音楽制作に慣れていない人が、いきなりこのアプリを使うことは、個人的にはお勧めしない。AppleはGarageBandという無料の音楽制作アプリケーションを提供しているので、入門者はそちらから試すことをお勧めしたい。
その上で、せっかく先行レビューの機会をもらったので、ざっと触ってみた感想をまとめてみよう。
iPadのマルチタッチ操作を生かし、画面上にさまざまな楽器を表示してその場で演奏を記録できるのは、iPad版Logic Proの大きな強みだろう。本物の楽器と違ってリズムが多少合わなくても「クオンタイズ」して音が拍にきちんとハマる
iPad版のLogic ProでもMIDI規格の楽器を繋いで演奏を記録したり、ループと呼ばれる短い音のフレーズを並べて曲を作ったりもできるが、個人的には画面上に鍵盤やギターの弦を表示させて曲のフレーズを録音できることが強みだと思った。
本物の楽器に比べると演奏しづらいかもしれないが、クオンタイズという機能を使って、テンポのズレに補正をかけることが可能だし、ギターなどのソフトウェア楽器(Logic Proではプレイサーフェス)ならビブラートをかけることもできる。
これらはGarageBandでも行えることではあるが、実はMac版のLogic Pro単体ではできない。旅行先のカバンにiPadを1台入れておけば、どこでも頭に浮かんだ曲をその場で好きな方法で演奏して記録ができる。
いや、演奏だけではない。iPadのマイクで川の流れから鳥のさえずり、街の騒音まで、あらゆる音を録音できる。そうやって取り込んだ音を楽器音として加工していく「Sample Alchemy」という機能もあれば、演奏したフレーズに味付けをして変化をさせる「Beat Breaker」などの機能も用意されている。
GarageBandが、あらかじめ用意された音を使って曲を作るのが中心だったとすると、Logic Proはプロ用というだけあって、演奏に使う音そのものの作り込みや、演奏中のフレーズにちょっとした変化をつける機能、さらには出来上がったマルチトラックの楽曲を1つずつレベル調整などして、より高い完成度へとブラッシュアップするミキシングといった機能が充実している点が大きな違いだろう。
充実した機能を持つLogic Pro。それだけに、使い方を学べるヘルプコンテンツも充実している。音楽制作のどの部分にLogicを使いたいかによって、異なるレッスンやサンプルがたくさん用意されているのも魅力の1つだろう
既にGarageBandで曲作りをしていた人は、GarageBandのプロジェクトを取り込んで、仕上がりの質を高めることもできる。
曲作りを趣味や仕事として続けている人はもちろんだが、最近、音楽から離れている人でも、昔やっていた経験がある人、あるいは経験はないけれど新しくチャレンジしてみたい人は、同アプリを使ったさまざまな曲作りのアプローチをステップ・バイ・ステップで教えてくれるガイド機能も用意されている。
使い始めれば、きっと日々の生活に楽しみが増えて、豊かな気持ちにしてくれるはずだ。
iPad版のFinal Cut ProやLogic Proが出るというニュースを聞いた時は、Mac版を元に機能を削った簡易版的な製品になるのかと思って、それほど期待をしていなかった。
しかし、実はどちらのアプリも筆者が使うレベルはもちろん、本物のプロフェッショナルが必要とする機能もほぼ網羅しているばかりか、iPadのタッチ操作やマルチウィンドウが使えない全画面操作環境に合わせて使いやすく再デザインされたことで、難しかった操作が分かりやすくなったり、HDRなどの最新技術も扱いやすくなったりしており、これは既にMac版を使っている人にとっても使いたくなるアプリだと思った。
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