検索
コラム

遅くて容量が足りないWindowsノートPCに喝! M.2 SSDを交換するとどうなる?【準備編】(1/2 ページ)

最近のノートPCでは、内蔵ストレージとしてSSDが使われている。多くのモデルでは意外と簡単にSSDを交換できるのだが、交換に当たって考慮すべきこともある。失敗のリスクを極小化するためにも、チェックしたいポイントを確認しよう。

Share
Tweet
LINE
Hatena
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 日々PCを使っていると、さまざまなデータが蓄積されていく。知らず知らずのうちにPCの内蔵ストレージが圧迫された結果、データを保存できなくなったり、OSやアプリのアップデートプログラムが適用できなくなったりと、PCの動作に支障が出るレベルに達してしまう事例も見受けられる。

 「たまったデータを外付けストレージ(USBメモリ、USB HDD/SSDやNAS)にデータを逃がす」という方法もある。しかし、特にノートPCを好んで使っている人は、「外部ストレージにたよらず、本体単体でスッキリと使いたい」という思いを少なからず抱えているはずだ。

 そこでお勧めしたいのが、ノートPCの内蔵ストレージの換装(取り換え)である。最近のノートPCの多くは、内蔵ストレージに「M.2」規格のSSDを使っており、比較的簡単に換装できる……のだが、誰でも“初めて”の瞬間がある。

 そんな人のために、WindowsノートPCに内蔵されているM.2 SSDを換装するプロセスを2回に分けて解説していく。今回(第1回)は、換装する前に検討したい事柄と、それを踏まえて準備すべき用品の確認をしていく。

おことわり

 ユーザー自身による内蔵M.2 SSDの換装は、メーカー/モデルメーカーによっては保証対象外の「改造行為」に該当する場合があります。「メーカー保証が無効化されるのは困る」という人は、保証規定を確認してから作業を行ってください。

 また、M.2 SSDはノートPCとの「相性」で正常に動作しない場合があります。この記事は相性問題は考慮に入れていませんので、その前提で読み進めてください。


SSD換装
ノートPCに内蔵されているM.2 SSDを取り換える検討をしよう!!

ステップ1:ノートPCのスペックなどを下調べ

 トラブルを未然に避けるために、まず自分のノートPCについて、以下の事項を“下調べ”しよう。

  • そもそも、ストレージが「M.2 SSD」なのかどうか
  • M.2 SSDの接続規格は「Serial ATA」なのか「PCI Express」なのか
    • PCI Express接続なら「プロトコル(NVMe規格か否か)」と「リビジョン(PCI Express 4.0対応なのか否か)」も合わせて調べる
    • Serial ATA接続ならPCI Express接続(NVMe規格)のものに換装可能か調べる
  • M.2 SSDを簡単に換装できる構造なのかどうか
    • 実装方法によっては換装不可、あるいは可能でも困難な恐れもある
    • メーカーやモデルによっては「取り換え方法」をWebで公開していることもある
  • 搭載できるM.2 SSDの“物理的な”寸法はどうなのか
    • 多くのモデルは、約22(幅)×80(奥行き)mmの「Type 2280」というサイズを採用
    • これより短いものを使っているモデルでは、搭載可能なサイズを調べる
  • 現在使っているM.2 SSDの容量
    • データのバックアップを行う際に使う「外付けストレージ」に必要な容量を把握
  • ノートPCの「リカバリーメディア(ディスク)」の作成方法
    • ディスククローンアプリよりも、OSを再インストールする方が確実かつ安全

 ストレージのスペック、接続(通信)規格や寸法が分からない場合は、以下の手順で調べてみよう。

  1. キーボードの「Windowsキー」を押しながら「X」キーを押す
  2. 「M」キーを押して「デバイスマネージャー」を起動する
  3. 「ディスク ドライブ」項目の横にある「+」をクリックする
  4. 表示されているモデル名をメモする
  5. メモしたモデル名でWeb検索してみる
  6. 検索結果からメーカーの製品情報(Webサイト)を見つける
デバイスマネージャー
デバイスマネージャーに表示されたディスク ドライブのモデル名。メーカー名(この画像の場合は「SAMSUNG」)まで入力すると少し面倒なので、メーカー名(と思われる部分)は省いて検索してもいいだろう
検索結果
モデル名でWeb検索をすると、多くの場合はSSDメーカーによる製品情報ページが結果の上位に現れるはずだ。大抵、製品情報ページには当該SSDの規格、サイズなどの主要スペックが書かれている

 換装の可否や、可能な場合の換装方法については、メーカーやモデルによって情報公開の粒度が異なる。レノボ・ジャパンの「ThinkPad」を例に取ると、M.2 SSDがCRU(顧客による交換可能部品)に指定されているモデルであれば、一般向けの「ユーザー・ガイド」にも詳しい手順が記載されている。

 また、海外メーカーのノートPCでは、法人向けモデルを中心に「保守(サービス)マニュアル」を公開していることもある。技術者向けの資料なので、ユーザーが手を出してはいけない領域まで詳しく説明される傾向にあるが、SSDの換装ができるかどうかの判断材料にはなるだろう。

ThinkPadの保守マニュアル
ThinkPadの場合、ユーザーによるM.2 SSDの換装を認めているモデルがほとんどで、一般ユーザー向けの「ユーザー・ガイド」にも脱着方法が記載されている

 一方で、国内メーカーのノートPCは、ユーザーによるM.2 SSDの換装を認めていないモデルがほとんどで、換装に必要な情報が公開されていないことも多い。とはいえ、最近のモデルは裏ぶたを開けるとすぐにM.2 SSDが見える(分かる)構造になっていることが多いので、換装のハードルはそれほど高くない。

 ただ、換装に関する情報が公開されているかどうかに関わらず、ユーザーによるM.2 SSDの換装は、メーカー保証を無効にすることがある。保証期間中のノートPCで作業をする場合は、必ず保証規定を再確認しよう。

メンテナンス製
保守の手間を軽減する観点から、最近のノートPCは裏ぶたを外すとすぐにM.2 SSDにアクセスできる構造としていることが多い。この場合、換装の難易度が低くなる

データ移行はどうやる?

 SSDを換装するに当たって、古いSSDからのデータ移行をどうするかという点は悩ましい問題だ。

 世の中には、古いSSDのデータを“丸ごと”新しいSSDに移行できる「ディスククローンアプリ」もある。これを使うと、Windowsの再インストールが不要で、SSDを入れ替えれば移行が完了する。ある意味で手軽なのだが、以下の課題もある。

  • ディスククローンアプリのライセンスを用意する必要がある
    • パッケージ版のSSDや外付けSSDケースには、オマケとしてアプリのライセンスが付いていることもある
    • 無償ダウンロードできるアプリは、基本的に一定の機能制限があり、SSDの状況によってはうまく使えない可能性もある
  • 「BitLocker」などでSSDを暗号化している場合、データを移行ができなかったり、移行可能でもスピードが低下したりすることもある
    • 移行前に暗号化をいったん解除することで回避可能
  • 新しいSSDを何らかの方法でPCにつなぐ必要がある
    • 外付けSSDケースを購入する場合、M.2 SSDの接続規格が異なると、ケースを流用できないことがある
    • SSD用M.2スロットが2基あるノートPCなら、両スロットを活用して移行可能(空きスロットがある前提)
クローンアプリ
ウエスタン・デジタル(WD)のパッケージ版M.2 SSDには、Acronis(アクロニス)製のディスククローンアプリ「Acronis True Image WD Edition」のライセンスが標準で付帯する。このアプリはSSDの移行に必要な機能はおおむね網羅しているが、有償版の「Acronis True Image」と比べると一部の機能が省かれている(参考リンク

 筆者個人としては、ディスククローンアプリを使うよりも、必要なデータを外部ストレージにバックアップした後にSSDを換装して、Windowsをクリーンインストール(再インストール)する方法をお勧めしたい。これなら、SSDの換装と同時にWindows全体のリフレッシュも図れる。

 この方法を取る場合、メーカーの指示する方法で作成した「リカバリーメディア」か、Windowsの「インストールメディア」を用意する必要がある。作成方法は別の記事を参照してほしい。

回復ドライブ
最近はWindowsの「回復ドライブ」アプリでリカバリーメディアを作成可能なメーカーが増えている。この場合、作成時点で最新のWindows Updateが適用された状態で作れるのが最大のメリットだ。なお、リカバリーメディアとして使う場合は「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします。」のチェックは必須である
リカバリーメディア
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)のノートPCでは、リカバリメディア(DVDまたはUSBメモリ)を9900円で提供するサービスも提供している。回復ドライブアプリでうまくリカバリーメディアを作れない場合、あるいはWindows Updateが適用されていない“純粋な”出荷状態の再現を行いたい場合に使うようにしたい

 次は、SSDの換装に当たって必要な“機材”の下調べを行おう。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る