これからのPCは「パーソナルコンパニオン」だ! HPが投入予定の「AI PC」やプリンティングロボを見てきた:HP Imagine 2023(1/2 ページ)
HPが米パロアルトで開催した「HP Imagine 2023」では、発表された新製品の実機やデモンストレーションが行われた。その模様を写真と動画を交えて紹介する。
既報の通り、HPは10月5日(米国太平洋時間)、米カリフォルニア州パロアルトにおいてイベント「HP Imagine 2023」を開催し、新製品や新サービスなどを発表した。講演では、同社が2024年に発売を予定する「AI PC」をチラ見せする場面も見受けられた。
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この記事では、別記事で紹介したHP Spectre Foldable PC以外の新製品について、気になるモノを一気にチェックしていく。
2024年にリリースされる予定の「AI PC」をチラ見せ
HP Imagine 2023の冒頭で行われた基調講演において、HPのエンリケ・ロレスCEOは「ハイブリッドワークやAI(人工知能)の時代に向けた製品をリリースする一方で、セキュリティーやAIに関するさまざまな懸念などを払拭(ふっしょく)する取り組みをすることで、ユーザーに信頼されるシステムを構築していくことが重要だ」と強調した。
同氏は「HPは人々を幸せにして、生産性を高める製品を常に提供してきた。それは今後も変わらない。ハイブリッドワークのような柔軟性を備えた働き方を実現できるようにしつつ、AIの時代に対応した機能を提供し、そして信頼されるようなAIを提供していかなければならない」とも語る。
ロレス氏は基調講演の後半にも登壇し、2024年に発売する予定の「AI PC」の実機を“チラ見せ”した。現場で見た限り、シルバーボディーのモバイルノートPCのようだ。
AI PCというのは、Intelが9月に開催したイベント「Intel Innovation 2023」から使っている用語で、AI処理に必要な「推論演算」をローカル(オンデバイス)で高速に行う仕組みを導入したPCのことを指す。
12月14日に正式発表される「Core Ultraプロセッサ」(開発コード名:Meteor Lake)には推論演算に特化した「NPU(Neural Processing Unit)」が搭載されている。NPUを利用すると、インターネットに接続していなくても生成AIの機能を利用してチャットボットが使えたり、画像生成ができるようになったりする。
PC向けCPU(SoC)では、既にAMDがRyzen 7040シリーズの一部で「Ryzen AI」というNPUを備えた他、Qualcommも「Snapdragon 8cx Gen 3」に「Qualcomm AI Engine」というNPUを搭載している。ここにCore Ultraプロセッサが加わることで、少なくともWindowsノートPCではNPUを備えるSoCを選べる環境が整う。
そうした状況を受けて、PC各社は2024年の“目玉製品”として、AI PCの発売に向けた準備を進めている。それはHPも例外ではなく、今回のチラ見せによって、AI PCのリリースに向けて準備が進んでいることを印象付けた。
ロレス氏は「これまでPCは『パーソナルコンピューター』だった。しかしこれからは『パーソナルコンパニオン』になっていく」と述べ、AI PCが人間が困っていることを解決してくれる「コパイロット(副操縦士)」のような存在になっていくと強調した。合わせて、HPでもユーザーを助けるような「AIアプリ」の開発を行い、同社のAI PCにプリインストールしていく方針も示した。
続いて、持ち運び可能な液晶一帯型(AIO)デスクトップPC「HP Envy Move 23.8-inch All-in-One PC」を始めとする、本イベントで発表された新製品をチェックしていこう。
HP Imagine 2023で発表された新製品を一挙紹介!
HP Imagine 2023では、複数の新製品が発表された。その概要は別の記事で紹介済みだ。この記事では、別途紹介したSpectre Foldable PC以外の新製品について、写真や動画を交えつつ紹介していきたい。
自立スタンドを自動でしまえる「Envy Move」
「HP Envy Move 23.8-inch All-in-One PC」は、デザイン性を重視する「Envy」ブランドから新たに登場する23.8型の液晶ディスプレイ一体型(AIO)デスクトップPCだ。米国では既に直販サイト(HP.com)で販売されており、価格は899.99ドル(約13万4000円)からとなっている
Envy Moveは、本体のスタンドが非常にユニークな構造となっている。
本機は上部にある取ってを持って、本体を自由に移動できることが特徴だ。取って(ハンドル)を持って本体を持ち上げると、足が自動的に本体と“平行”な向きに収納される。逆に、本体を床や机の上に置こうとすると、足が自動的に出てくる。
こうすることで、持ち運びの際に足が折れてしまう事故を防いでいる。このギミックは実際の動きを見た方が早いので、動画を確認してほしい。
持ち運びを前提としていることもあり、キーボードはBluetooth接続のワイヤレス式となっている。タッチパッドも一体化することで、マウスを持ち運ばずに済む。本体背面には、このキーボードを収めるためのポケットも付いている。
HyperXのゲーミング周辺機器(一部は日本発売決定)
HPのゲーミング周辺機器部門「HyperX」は、4Kゲーミングカメラ「Vision S Webcam」、ゲーム配信用「Audio Mixer Audio Interface」、マイク/カメラアームの「Caster Microphone Arm」を展示した。これらのうち、Caster Microphone Arm以外の2製品は、日本での発売が決まっている。
もちろん、HP Imagine 2023の会場にはビジネス向け製品の展示もあった。
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