検索
ニュース

サントリーやBS朝日も出展した「SWSX Sydney」ってどんなイベント? “お祭り”の秘密に迫る(2/4 ページ)

米国の音楽フェスを発祥とする複合イベント「SXSW」のスピンオフイベントが、初めて海外で開催された。いろいろなイベントが雑多に混じり合うという特徴は維持しつつも、ある程度の秩序は保たれていたように思われる。その一端を見てみよう。

Share
Tweet
LINE
Hatena

大小さまざまな講演も開催

 シアターや展示会場に設けられたステージなどで大小の講演が行われるのも、SXSWの特徴だ。今回のSXSW Sydney 2023でも、会期中にさまざまな講演が開催された。

 内容的には「ダイバーシティ(多様性)の実現」「環境問題への対処」「働き方改革」といった、社会的課題に関するものが多かった印象だ。筆者もそのいくつかに参加した。

カンファレンス
ICC Sydneyにある「ダーリンハーバーシアター(Darling Harbour Theatre)」で開催された、大規模カンファレンスの様子。数千人規模から数百人規模まで、さまざまな規模のカンファレンスが常時行われていたのもSXSWの特徴である

 PCメーカーである「HP」のオリバー・ヒル氏(マネージングディレクター)と、シンガポールの女性起業家後援プラットフォーム「She Loves Tech」のリーン・ロバース氏(共同創始者)のトークセッションでは、HPが9月に公表した「Work Relationship Index」に関する議論が展開された。

 Work Relationship Indexは、同社が世界中のさまざまな業界の1万5600人以上を対象に調査した「人と仕事の関係性に関する調査」をまとめたもので、日本語版もある。興味のある人は、以下のリンクを参照してほしい。

ヒル氏
HPのオリバー・ヒル氏

 この調査によると、「仕事との関係が健全だ」と感じたナレッジワーカーの比率は、インドでは50%、インドネシアでは38%、ブラジルなどでは37%と、健全だと感じる人が比較的多い傾向にある。一方で、フランスでは21%、ドイツでは20%、スペインは20%で、日本に至っては5%と、不健全さを覚えるナレッジワーカーが大多数を占める国や地域もある。端的にまとめると、新興国かつ経済が順調に伸びている国では「健全」だと思うワーカーが多い一方で、既に成熟しきっている国(特に日本など)では「不健全」さを覚えるワーカーが多いということだ。

 ヒル氏は「コロナ禍が終わり、従業員の多くは仕事との関わりが健全ではないと感じ始めていることが調査で分かった。経営者にとっても、それは良くない兆候であり、何かを変えなければならないタイミングに近づいたといえる」と述べ、調査結果から会社と従業員の関係を変化する必要性を指摘した。

 また、同氏はこの調査で「多くの従業員が、仮に給料が下がってもより働きがいのある仕事に就きたいと考えている」ことを示しつつ、ハイブリッドワークのような新しい働き方の実現や、より性能や生産性の高いビジネスツールの提供が重要であることを指摘した。

ロバース氏
She Loves Techのリーン・ロバース氏(共同創始者)

 この調査結果に対して、ロバース氏はナレッジワーカーへの評価が大事だと指摘する。「もはや『失敗しないこと』を評価する時代は終わっている。失敗は次への成功の学習段階であり、企業も(評価に対する)考え方を変えるべきだ」と述べ、従業員が新しいことにチャレンジすることを奨励するような評価軸にしなければ、そのパフォーマンスを高められないことを指摘した。

結果
Work Relationship Indexの内容から「仕事との健全な関係」に関する結果を抜粋したもの。ナレッジワーカーのうち、仕事の関係を「健全だ」と答えたのは全体の27%だったが、新興国と先進国(成熟国)では回答の傾向に違いが見られる

 “お祭り”であるSXSW Sydney 2023は、商品やサービス、あるいは自社の存在をアピールするプロモーションの場でもある。次ページでは、プロモーションの場としての姿を見てみよう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る