ソニーがAP通信と「来歴記録カメラ」の実証実験を実施 「α1」「α7S III」「α9 III」に来歴記録機能を実装へ
ソニーがAP通信と写真に「電子署名(来歴記録)」を添付する実験を数次に渡り実施していたことを発表した。同社では、2024年春をめどに「α1」「α7S III」「α9 III」を対象に電子署名を添付する機能を実装する予定だが、当初は一部の報道機関限定で展開する可能性があるという。
ソニーは11月22日、米Associated Press(AP通信)と共同でカメラで撮影した撮影画像の真正性を証明する技術の実証実験を実施したことを発表した。同社は2024年春をめどに、レンズ交換式デジタルカメラ「α1」「α7S III」「α9 III」の3機種に写真への電子署名添付(来歴記録)機能を追加する方針だ(※1)。
(※1)ソフトウェア更新によって対応。ただし、当初は一部の報道機関限定で展開する可能性あり
ソニーとAP通信では、AP通信で利用するソニー製カメラにハードウェアチップセットを通して電子署名を付与する機能を実装し、複数回に渡り実証実験を実施した。最新の実験(2023年10月)では、写真の真正性証明をAP通信の画像納品ワークフローで行ったという。
ソニーでは、このワークフローで使われる「Photo Mechanic」の開発元である米Camera Bitsと連携し、メタデータの編集プロセス全体を通してデジタル署名を保持できる仕組みも開発した。
ソニーは、米Adobeが主導して設立された「C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)」にステアリング(主導)メンバーとして参画している。同社は今後も写真の真正性を証明する技術などの開発を加速し、報道分野の支援や社会的課題の解決に向け、一層取り組んでいくとしている。
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