AWSがワッパを改善した次世代プロセッサを披露 幅広い処理に対応する「Graviton4」と機械学習特化の「Trainium2」
Amazon Web Servicesが、自社データセンターで利用する自社開発プロセッサの新モデルを披露した。同社の「Amazon EC2」で順次利用可能になる見通しだ。
Amazon Web Services(AWS)は11月29日(米国太平洋時間)、データセンター向けの自社開発プロセッサ(SoC)「AWS Graviton4」と「AWS Trainium2」を発表した。Graviton4は同日から「Amazon EC2 R8gインスタンス」で既にプレビュー提供されており、今後数カ月以内に正式版が提供される。Trainium2は新たに登場する「Amazon EC2 Trn2インスタンス」で利用できるようになる見通しだが、具体的な予定時期は示されていない。
AWS Graviton4の概要
AWS Graviton4は「AWS Gravitonシリーズ」の第4世代で、現行の第3世代(AWS Graviton3)と比べてCPUコア数は1.5倍、メモリ帯域幅は1.75倍に拡大され、演算パフォーマンスは最大で30%向上したという。
その結果、「Amazon EC2」で取り扱える幅広いワークロード(処理作業)を高速かつ効率よく実行できるようになったという。全ての物理ハードウェアインタフェースを暗号化するなど、セキュリティ面も強化された。
AWS Trainium2
AWS Trainium2は、機械学習データ(基盤モデル/大規模言語モデル)のトレーニングに最適化されたプロセッサ「AWS Trainium」の第2世代モデルで、先代と比べて最大3倍のメモリ容量をサポートし、最大4倍の学習パフォーマンスを提供できるという。消費電力当たりのパフォーマンス(いわゆる「ワッパ)」も最大2倍に向上したそうだ。
本プロセッサを採用するEC2 Trn2インスタンスでは、1インスタンス当たり16個のTrainium2を利用可能で、「Amazon EC2 UltraClusters」と併用することで最大で10万個までスケールアップできるようになっている。
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