レノボ「Legion Go」を低消費電力モードでテストしたら、思ったよりも強かった【レビュー前編】(3/3 ページ)
レノボ・ジャパンの「Legion Go」は、いわゆる「ポータブルゲーミングPC」としては後発ということもあって、ギミックとスペックの両面で高いレベルだ。しかし、それゆえに、あえて“弱く”した状態でテストしてみたくなるというのが人情である。そこで、あえて電源設定を省エネ重視とした上でベンチマークテストをしてみることにしよう。
主要なベンチマークテストアプリを“最弱”状態で回してみる
Legion Goの特徴を一通りチェックしたところで、ここからは主要なベンチマークテストアプリを使って実力をチェックしていく。
なお、通常であれば一般的なWindowsノートPCで標準となる「バランス」か、パフォーマンスを重視した「最適なパフォーマンス」でテストを行うところだが、今回は思うところがあって電源設定をあえて「トップクラスの電力効率」とした( 動作モードが違うテストは、別の記事で深掘りする予定だ)。
CINEBENCH R23
3Dレンダリングを通してCPUの演算パフォーマンスをチェックする「CINEBENCH R23」では、標準設定(※3)でマルチコアとシングルコアの性能をチェックした。結果は以下の通りだ。
- マルチコア:5956ポイント
- シングルコア:1129ポイント
消費電力が一番低い設定でも、シングルコアのスコアが1000ポイントを超えるのは良い時代になったものだと思う。バランスや最適なパフォーマンスと比べると明らかに低いとはいえ、マルチコアスコアも下手なローエンドPCよりも優秀だ。
PCMark 10
次に、PCの総合ベンチマークテストアプリ「PCMark 10」を実行してみよう。スコアは以下の通りとなる。
- 総合スコア:5469ポイント
- Essentials:8787ポイント
- Productivity:7719ポイント
- Digital Content Creation:6546ポイント
CPUコアに加えて、RDNA 3アーキテクチャのGPUもよく仕事をしているようで、こちらも省エネ設定の割にはスコアが良い。動画編集のテストを含む「Digital Content Creation」で6500ポイントを超えたことには、良い意味で驚いた。よりCPUを“ぶん回す”設定にしたら、一体どうなってしまうのだろうか……?
3DMark
続けて、3Dグラフィックスのベンチマークテストアプリ「3DMark」を試してみる。総合スコアは以下の通りだ。
- DirectX 11ベース
- Fire Strike(フルHD):5733ポイント
- Fire Strike Extreme(WQHD):1343ポイント
- Fire Strike Ultra(4K):744ポイント
- DirectX 12ベース
- Time Spy(WQHD):2415ポイント
- Time Spy Extreme:597ポイント
- Port Royal(レイトレーシング):1108ポイント
GPUコアの優秀さは、ここでも現れている。一番省電力な設定で動かしている割にはスコアが高い。数年前のノートPCを下手に“全力で”動かすよりも、わざと“最弱”状態にしたLegion Go(Ryzen Z1 Extreme)の方が強いのは、なかなかに良いものを見せてもらっている気分である。
ただし後述するが、これで実際のゲームも“快適に”動かせるかというと、別問題だったりする。
FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク
実際のゲームベースのベンチマークテストを実行してみよう。
まず、中程度の負荷となる「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(スクウェア・エニックス)」で、フルHD(1920×1080ピクセル)のフルスクリーン表示で「標準品質(ノートPC)」「高品質(ノートPC)」「最高品質」のスコアを計測した。結果は以下の通りだ。
- 標準品質(ノートPC):6186(やや快適)
- 高品質(ノートPC):5198(普通)
- 最高品質:4256ポイント(普通)
消費電力を制限するという“足かせ”がありながらも、ノートPC向けの標準品質なら、サクサクと動いた。最高品質でも、描画の致命的な引っかかりはほとんどなく、普通評価となった。この分なら、HD解像度ならこの電力設定でも設定を引き上げられるかもしれない。
では、高負荷のゲームも、この最弱設定で乗り切れるのだろうか。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」を試してみよう。フルHD解像度のフルスクリーンで「軽量品質」「標準品質」「高品質」の3パターンでスコアを測った結果は以下の通りだ。
- 軽量品質:2087(重い)
- 標準品質:1723(動作困難)
- 高品質:1334(動作困難)
いずれのテストも完走はできたものの、スコアはご覧の通り厳しい。1つランクが上となる「重い」評価だった軽量品質だが、それでもテスト中に致命的な描画の引っかかりと、BGMの途切れが発生していた。HD解像度の軽量品質なら何とかなるかもしれないが、それ以上の解像度や画質設定でのプレイは厳しい。
FF14/FF15ベンチマークをの結果を見ると、最弱設定のLegion Goあっても、グラフィックス負荷が軽いゲームならHD解像度で結構プレイできそうではある。しかし、高品質なグラフィックスをバリバリ使うようなゲームは、遊ぶこと自体にムリがある。
“本気”を出すとこの状況は一変する……のだが、そこにも一定の条件があったりする。その辺は、別記事で解説できればと思う。
バッテリー持ちは良いけれど……
この電源設定のまま、PCMark 10のバッテリーライフテストを「Gaming」シナリオで実行するとどうなるだろうか。このシナリオでは、3DMarkにも収録されている「Fire Strike」のテストの一部(グラフィックステスト1)を繰り返し実行することでゲーミングPCにおけるバッテリー駆動時間を計測できる。
画面輝度を50%とした状態でテストしたところ、残量96%から3%(強制休止状態)になるまで2時間21分となった。「PCベースのゲーム機」と考えれば意外と持っているように見えるのだが、フレームレートを見てみると、高くても15fps程度しか出ていなかった。先述した3DMark(AC電源駆動時)では、同じテストの平均フレームレートが30.97fpsだったことを考えると、AC駆動とバッテリー駆動でも“最弱”の程度に差が出てきそうである。
思ったよりも強い“最弱”だが、もう少し検証が必要
ハードウェア的に見どころのたくさんあるLegion Goを、あえて“最弱”の状態にしてテストをしてみたところ、思ったよりも高いパフォーマンスを発揮できた。数年前のノートPCを全力で回すよりもパワフルそうであることは、素直にすごい。
しかし、さすがにこの状態では、最近のハイエンドゲームを楽しむのは厳しい。その上、バッテリーベンチマークの様子から、AC電源時とバッテリー駆動時でも力の具合が変わりそうだということも分かった。
後日、電源モード別にどのくらいパフォーマンスが変わるのか、もう少し詳しく見ていきたい。
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