天空がポータブルPC「AYANEO Flip」の予約販売を開始 実機を国内でお披露目 ハンズオンで作りの良さを実感(1/2 ページ)
多くの海外製ポータブルゲーミングPCの正規代理店である天空が、中国AYANEOの「AYANEO Flipシリーズ」の予約販売を開始する。それに先駆けて、実機の「お披露目会」が行われ、AYANEOのアーサーCEOもオンラインで魅力を語った。
天空は3月29日、AYANEO製ポータブルゲーミングPC「AYANEO Flipシリーズ」の国内予約販売を開始する。予約販売時の価格(税込み)は「AYANEO Flip DS」が16万9800円、「AYANEO Flip KB」が16万3000円で、特典としてAYANEOオリジナルの専用ケースが付属する。
このことに伴い、同社は報道関係者向けに「お披露目会」を開催した。お披露目会には同社の山田拓郎社長の他、オンラインでAYANEOのジャン・アーサーCEOが登壇し、本機の魅力を語った。
この記事では、お披露目会の模様をお伝えする。
ゲームに熱中しても熱くならない本体
AYANEO Flipシリーズは、レトロゲーム機やレトロPCから着想を得たデバイスを送り出す「AYANEO REMAKE」構想に基づく製品群の1つで、AYANEO初のクラムシェル型ポータブルゲーミングPCだ。本シリーズには、基部にサブディスプレイを搭載した「DS(デュアルスクリーン)」とキーボードを搭載した「KB(キーボード)」の大きく2モデルが用意されており、両モデル共に基部の両脇にゲームコントローラー(パッド)を備えている。独立した光学式ポインティングデバイスもあるので、マウス操作も可能だ。
DSとKBのいずれも、PCI Expressバスを外部接続するための「OCuLink端子」を搭載しており、OCuLink規格対応の外付けGPUボックス(参考記事)を接続することで、ゲームプレイや動画編集などの重い処理をより軽快にこなせる。
APU(GPU統合型CPU)は「Ryzen 7 7840U」(8コア16スレッド/3.3GHz〜5.1GHz)を搭載しており、これを効率的に冷やす大型のベイパーチャンバーヒートシンクプレートも備えている。これにより、定格TDP(熱設計電力)の28Wで安定して駆動可能だ。
なお、メモリは32GB(LPDDR5X規格)、ストレージは2TBのSSD(PCI Express接続)を搭載している。
色再現性が高く、高速な液晶ディスプレイを搭載
ディスプレイは、タッチ操作対応の7型フルHD(1920×1080ピクセル)液晶で、リフレッシュレートは最大120Hzとなる。色域はsRGB比で120%、DCI-P3比で100%をカバーしており、色再現性も高い。
DSに搭載されているサブディスプレイはタッチ操作対応の3.5型で、パネル解像度は960×640ピクセル、リフレッシュレートは60Hzとなる。当初、サブディスプレイには同社独自のユーティリティアプリ「AYA Space 2.0」の一部情報(ファン回転数/リフレッシュレート/電源プロファイル)のみ表示できるようにする予定だったが、利用範囲を拡大して、通常のサブディスプレイとしても使えるようにしたという。
天空の山田社長は、「ゲーム起動中やマッチング中などの待ち時間にサブディスプレイで動画を視聴したり、ゲームプレイ中にサブディスプレイで攻略サイトを見たりするなど、楽しみ方の幅が広がる。もちろん、AYA Space表示に切り替えれば、ゲームのパフォーマンスが見やすくなるでしょう」と活用方法を提案していた。
ボディーの基本設計は、KBとDSで大きな違いはない。ただし、DSにはサブディスプレイに表示する内容を切り替えるための「Dual-Screen Keys」ボタンが追加されている。
このボタンは、1度押すと「AYA Space(ダッシュボード)」と「Windowsのデスクトップ」を切り替えが可能で、素早く2度押すと「メインディスプレイとサブディスプレイのコンテンツ配置のリセットと拡張デスクトップモードへの復旧」が行え、長押しすると「サブディスプレイのオン/オフ切り替え」を行える。
当然だが、サブディスプレイを使うと電力消費量は増える。バッテリー駆動時間を延ばしたい場合は、このボタンをうまく使うと良いだろう。
ディスプレイの開閉角度は「120度」「150度」「180度」の3段階で、それぞれの角度でカチッと止まるようになっている。ディスプレイを閉じると、マグネットで固定されるので、バッグの中で中途半端に開くという事故を防げる。
なお、ディスプレイは思ったよりも勢いよく閉まる。その際にディスプレイを傷つけないように、基部にゴムが仕込まれている。長く美しい状態を保てそうだ。
ポート類は必要十分
本体のポート類は、Oculink端子の他、USB4端子、USB 3.2 Gen 2 Type-C端子、microSDメモリーカードスロット(最大毎秒300MBアクセス対応)、3.5mmイヤフォン/マイク端子を備える。USB Standard-A端子は備えないが、ポータブルゲーミングPCとしては必要十分だろう。
電源ボタンには、指紋センサーを搭載している。Windows Helloで指紋認証を設定しておけば、起動からログイン(サインイン)までをスムーズに行える。
ボディーサイズは両モデル共に約180(幅)×102(奥行き)×29.8(高さ)mmで、重量は約650gとなる。カラーは「ミルキーホワイト」と「シャドウブラック」を用意する。
なお、今回登場するAYANEO FlipシリーズはRyzen 7 7840Uを搭載しているが、AYANEOはAPUを最新の「Ryzen 7 8840U」(8コア16スレッド/3.3GHz〜5.1GHz)とした“強化版”を発表済みで、近日中に日本向けのクラウドファンディング販売も始まる予定だ。
この点について山田社長に聞いたところ、「同じ32GBメモリ/2TB SSDという構成にすると値段はそれなりに上がる」とのことで、純粋にゲームを楽しむならRyzen 7 7840Uモデルでも十分だと考えているという。「(7840Uモデルは)価格とスペックのバランスがとても良い。どちらにするかは、Ryzen AI(AI処理に特化したNPU)の要/不要という観点から選ぶといい」とのことだ。
さて、先に触れた通り、AYANEO FlipシリーズはAYANEO REMAKE構想の一翼を担う。ということは、何らかのゲーム機やPCから着想を得て開発されたということになる。果たして、何にインスパイアされて開発されたのだろうか……?
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