QualcommがPC向けSoC「Snapdragon X Plus」を発表 CPUコアを削減しつつも圧倒的なAI処理性能は維持 搭載PCは2024年中盤に登場予定
Qualcommが、PC向けSoC「Snapdragon X」のポートフォリオを拡大する。最上位の「Snapdragon X Elite」からCPUコアを削減しつつも、GPU/NPUコアの性能を維持した「Snapdragon X Plus」を投入することで、より手頃な価格帯のPCへの採用を狙う。
Qualcommは4月24日(米国太平洋夏時間)、PC向けSoC「Snapdragon X Plus」を発表した。搭載PCの登場は、2024年中盤を予定している。
Snapdragon X Plusの概要
Snapdragon X Plusは、先に発表された「Snapdragon X Elite」の下位モデルとして用意される。
CPUコア「Oryon」は、12基から10基に削減されている。動作クロックは最大3.4GHzで、2コアを厳選してクロックをより引き上げる「デュアルコアブースト」には対応しない(※1)。Qualcommによると、IntelのCore Ultra 7 155Hプロセッサと比較した場合、Snapdragon X Plusは「CPUパフォーマンスが最大37%高速でありながらも、消費電力が54%低い」という。メモリはLPDDR5X-8448規格に対応する(最大64GB)。
(※1)Snapdragon X Eliteも、最下位モデル(X1E-78-100)はデュアルコアブースト非対応
GPUコア「Adreno」はSnapdragon X Eliteの中位モデル(X1E-80-100)や最下位モデルと同一仕様で、ピーク時の処理性能は3.8TFLOPSとなる。推論処理に特化したNPUコア「Hexagon」はSnapdragon X Eliteの全モデルと同一仕様で、ピーク時の処理性能は45TOPSだ。
その他の主な仕様は以下の通りとなる。
- 対応ストレージ:SD Version 3.0/PCI Express 4.0(NVMe)/UFS 4.0
- USBポート(最大数):USB4×3、USB 3.2 Gen 2×2、USB 2.0×1(内部)
- 映像出力
- 内部:embedded DisplayPort 1.4b(4K/120Hz出力+HDR対応)
- 外部:DisplayPort 1.4(最大3画面出力+HDR対応)
- 3画面出力時は最大4K/60Hz、2画面出力時は最大5K/60Hz
- VPU(GPUコアに統合)
- デコード:H.264/H.265/AV1/VP9に対応(最大4K/60fps)
- エンコード:H.264/H.265/AV1に対応(最大4K/30fps)
- ISP(イメージプロセッサ):Spectra
- デュアルカメラ構成時:最大約3600万画素センサーに対応
- シングルカメラ構成時:最大6400万画素センサーに対応
- モバイル通信機能:Snapdragon X65 5G(オプション)
- 下り最大10Gbps/上り最大3.5Gbps(理論値:ミリ波にも対応)
- 無線LAN/Bluetooth:FastConnect 7800(オプション)
- 無線LAN:Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)対応(最大4ストリーム/MLO対応)
- Bluetooth:Version 5.4対応
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