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「PowerColor」グラボはどのような環境で生まれる? 台湾TULの工場を見学してみたCOMPUTEX TAIPEI 2024(1/4 ページ)

「PowerColor」ブランドのグラフィックスカードで知られるTULは、台湾に本拠を構えるメーカーだ。COMPUTEX TAIPEI 2024に合わせて、本社工場を見学する機会があったので、グラフィックスカードの生産の実情をお伝えにしたいと思う。

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 突然ですが、皆さんはPCや周辺機器がどのようにして作られるか、知っていますか? そういう現場を見られる機会というのは、なかなかありません。

 6月7日まで開催されている「COMPUTEX TAIPEI 2024」に合わせて、台湾TULから「工場を見学してみないか?」とお誘いを受けました。「TUL?」と思った読者の皆さんもいると思うので補足すると、「PowerColor(パワーカラー)」ブランドでグラフィックスカードやゲーミングデバイスを製造/販売しているメーカーです。これなら「ああ、あそこか!」と分かる人も多いのではないでしょうか。

 今回、お誘いに応じる形でTULのグラフィックスカード工場を見学してきましたので、その様子をお伝えしようと思います。

工場見学の前に「着替え」

 TULの本社は、台湾の新北(シンペイ)市にあります。

 「新北? 台北(タイペイ)と違うの?」という人もいると思うので補足すると、新北市は「しい台」として2010年に発足した自治体で、以前は「台北県」と呼ばれていました。そのような経緯から、台北市は全域が新北市に囲まれています。

 話を戻すと、その名の通り、COMPUTEX TAIPEIは台北市の南岸(ナンガン)地区で行われています。TULの本社は、台北市の南岸地区からバスで東に20分ほど行った場所にあります。

TUL本社
TULの本社兼グラフィックスカード工場は、台湾の新北(シンペイ)市にあります

 先述の通り、TULはPowerColorというブランドの下でグラフィックスカードやゲーミングデバイスを販売しています。ゆえにメーカー名を聞く機会も少ないのですが、1997年に発足した、創業27年目の会社です。

 最近の同社製品としては、ピンク色の3連ファンを備えるグラフィックスカード「Hellhound Sakura AMD Radeon RX 7800 XT 16GB GDDR6」が話題を呼びました。

Hellhound Sakura AMD Radeon RX 7800 XT 16GB GDDR6
最近のTUL(PowerColor)製品としては「Hellhound Sakura AMD Radeon RX 7800 XT 16GB GDDR6」が有名です

 TULの本社は、一見すると何の変哲もない普通のビルです。玄関を入ると大きな「TUL」のロゴが出迎えてくれます。PowerColorの「P」の字もありません。

 ここで筆者に靴カバーやヘアキャップなどが手渡され、「これらを着用してください」と言われました。普通のオフィスビルに見えて、しっかりと“工場”でもあることがよく分かります。

玄関
玄関では、大きなTULロゴが出迎えてくれます。「TUL=PowerColor」と結び付いていない人からすると、「え、どこにPowerColor要素があるの?」という感じになってしまうかもしれません
クリーンじゃないと入れない
見学を開始する前に、靴カバーやヘアキャップなどが手渡され、着用を命じられました。「ああ、ここは何らかの精密機械を作る工場でもあるのだな」と痛感します

工場を下支えする「事務室」と「部材倉庫」

 最初に見学したのが、1階にある事務室。ここではグラフィックスカードを作るための部材の入庫や、出来上がった製品の出荷を管理しています。ある意味で“工場の心臓部”といえます。

事務室
部材の入庫や製品の出荷を管理する事務室

 次に案内されたのが、2階にある部材倉庫です。

 グラフィックスカードはGPUチップだけでなく、各種コンデンサや端子類、空冷用のファン、これらを載せるための基板など、多くの部材を必要とします。2階ではグラフィックスカードに製造な部材を全て保管し、必要に応じて3階にある製造ラインに持っていきます。

入り口
部材倉庫の入口。当たり前ですが、厳重にロックが掛けられています
いざ中へ
ロックを解除してもらい、部材倉庫の中へ
段ボール
各種部材の多くは、段ボール箱に入れた状態で保管されます
倉庫内
倉庫内には、思った以上にいろいろな部材が保管されています

 倉庫の一角には、届いた部材を“抜き打ちで”検査するブースもあります。例えばGPUチップなどを実装する基板は、“反り”がないかどうかチェックされます。また、GPUチップを始めとするデリケートな部材は、温度が一定に保たれる部屋に保管されます。

花こう岩を使った計測台
これは花こう岩を使った計測台で、基板に反りがないかどうかをチェックするために使われます
押し当ててチェック!
このように計測台に基板を押し当て、基板との間に隙間があると「反っている」と判定そうです。なお、今回は不良品の(反っている)基板をあえて用意して、正常な(反っていない)基板と比べる様子も見せてもらえました
別室
デリケートな部材は、区画内にある別室に保管されます
保管庫
別室は湿度と温度を一定に保つ管理がなされています

 部材倉庫の見学が終わると、次は3階に移動です。

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