AMDの新型CPU「Ryzen 5 9600X」「Ryzen 7 9700X」はエントリーモデルでも高コスパで魅力的! ライバルCPUと比較して分かったこと:先行レビュー(3/4 ページ)
Zen 5アーキテクチャを採用するCPU「Ryzen 9000シリーズ」のハイエンドモデルが、順次発売される。先行して登場するRyzen 5/7をレビューする機会を得たので、その実力をチェックしていこう。
FF14旧ベンチマーク/FF15ベンチマーク
続いて、実際のゲームをベースとするベンチマークテストを実行してみよう。
まず、比較的軽量な「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14旧ベンチマーク)」を試してみる。
本来であれば、最新バージョンの「ファイナルファンタジーXIV: 黄昏のレガシー ベンチマーク(FF14新ベンチマーク)」を実施したかったのだが、比較用のCore i9-13900K環境においてテストした時点では同ベンチマークはリリース前だった。そのため、今回はあえて旧バージョンでのテストを実施して比較する。
画質設定は「最高品質」として、フルHD(1920×1080ピクセル)/WQHD(2560×1440ピクセル)/4K(3840×2160ピクセル)の3つの解像度でテストを行った。結果は以下の通りだ。
- フルHD
- Ryzen 7 9700X:3万7517ポイント
- Ryzen 5 9600X:3万6740ポイント
- Core i9-13900K:3万9402ポイント
- WQHD
- Ryzen 7 9700X:3万2215ポイント
- Ryzen 5 9600X:3万2076ポイント
- Core i9-13900K:3万4457ポイント
- 4K
- Ryzen 7 9700X:2万1780ポイント
- Ryzen 5 9600X:2万1703ポイント
- Core i9-13900K:2万2292ポイント
FF14旧ベンチマークの動作要件を見てみると、推奨GPUが「GeForce GTX 970」など、およそ8年ほど前のハイスペックPCを基準としている。そのため、現代のPCにとっては「軽いゲーム(ベンチマーク)」に分類されるため、ご覧の通りどのCPUも、全ての解像度で良好なスコアを残し、差も大きくない。
このことは「古いゲームタイトルを遊ぶなら、CPUは必ずしもハイエンドである必要はない」ということ……なのだが、ちょっと見方を変えると「Ryzen 9000Xシリーズの下位製品は、古いゲームタイトルならハイエンドCPUと同じパフォーマンスを発揮できる」ともいえる。
では、負荷のやや重い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」では、スコアに差が付くのだろうか。今回は画質を「高品質」として、FF14旧ベンチマークと同じ3つの解像度でテストを行った。結果は以下の通りだ。
- フルHD
- Ryzen 7 9700X:2万1915ポイント
- Ryzen 5 9600X:2万1446ポイント
- Core i9-13900K:2万2100ポイント
- WQHD
- Ryzen 7 9700X:1万9134ポイント
- Ryzen 5 9600X:1万9564ポイント
- Core i9-13900K:1万9398ポイント
- 4K
- Ryzen 7 9700X:1万1936ポイント
- Ryzen 5 9600X:1万1958ポイント
- Core i9-13900K:1万2154ポイント
こちらも僅差といえば僅差だ。というのも、ある程度の負荷のゲームまでは、基本的に一定以上のCPU性能があれば、ボトルネックになるのはGPUのみだからだ。
CPUもGPUもゴリゴリ使うような“超”高負荷なゲーム(後述)をたくさん遊ばないのであれば、CPUをRyzen 5 9600XかRyzen 7 9700Xあたりにして予算を抑えて、グラフィックスカードに厚めの予算を回す――そんなマシンの組み方も“アリ”だと思う。
より高負荷なゲームタイトルでも強い?
CPUだけでなく、GPUにも大きな負荷を掛ける場合、Ryzen 5 9600X/Ryzen 7 9700Xは健闘を続けられるのだろうか。「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマードコア6)」「Cyberpunk 2077」「Microsoft Flight Simulator」の3タイトルで、平均フレームレートをチェックしてみよう。
アーマードコア6
アーマードコア6では、フルHD/WQHD/4Kの3解像度で画質設定「最高」にしてテストを行った。表示モードは「フルスクリーン」、上限フレームレートは「120(fps)」として、ゲーム前半の関門ステージ「ウォッチポイント襲撃」をプレイした際の2分間の平均フレームレートを「CapFrameX」で計測している。
結果は以下の通りだ。
- フルHD
- Ryzen 7 9700X:119.7fps
- Ryzen 5 9600X:119.8fps
- Core i9-13900K:119.3fps
- WQHD
- Ryzen 7 9700X:119.8fps
- Ryzen 5 9600X:119.8fps
- Core i9-13900K:119.7fps
- 4K
- Ryzen 7 9700X:116.6fps
- Ryzen 5 9600X:117.8fps
- Core i9-13900K:118.1fps
アーマードコア6は、グラフィックスの密度の割に、負荷はそれほど重たくない。今回のテスト環境であれば、どの組み合わせであってもフレームレートはほぼ上限に張り付き、非常に快適に遊ぶことができた。
「テスト環境のグラフィックスカードが(CPUに対して)強すぎるのでは?」と思う人もいるかもしれないが、Ryzen 5 9600X/Ryzen 7 9700Xなら高性能GPUの足を引っ張ることはないともいえる。
Cyberpunk 2077
現行のPCゲームの中でも、上位を争う高負荷タイトルであるCyberpunk 2077では、ゲーム内に設けられたベンチマーク機能を使って平均フレームレートのチェックを行った。
ゲーム設定はプリセットの「レイトレーシング:ウルトラ」を選択し、フルHD/WQHD/4Kの3つの解像度でテストした。DLSS(超解像技術)も有効にし「クオリティ・フレーム生成あり」をオンにしている。結果は以下の通りだ。
- フルHD
- Ryzen 7 9700X:224.81fps
- Ryzen 5 9600X:217.69fps
- ≪Core i9-13900K:218.31fps
- WQHD
- Ryzen 7 9700X:180.37fps
- Ryzen 5 9600X:184.26fps
- Core i9-13900K:150.12fps
- 4K
- Ryzen 7 9700X:120.05fps
- Ryzen 5 9600X:120.33fps
- Core i9-13900K:102.01fps
Core i9-13900Kにおける過去のテストと比べると、Ryzen 9000シリーズを使ったテストでは高解像度における平均フレームレートが高い。もちろん、グラフィックスドライバーの改善(最適化の進行)が原因ということも考えられるが、それにしてもすごいことだと思う。
繰り返しだが、重量級タイトルでもCPUがボトルネックに“ならない”ことは見逃せない。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorも、重量級タイトルとして定番だ。高精細なグラフィックで描かれる風景なさながら実写を見ているかのような再現度なのだが、読み込まれるデータ量が多いことからGPUだけでなく、CPUにもかなりの負荷がかかる。
今回はDLSSをオンにしてフレーム生成も有効とし、フルHD/WQHD/4Kの3つの解像度においてディスカバリーフライトの「モナコ」をAI操縦し、CapFrameXで2分間の平均フレームレートを計測した。結果は以下の通りだ。
- フルHD
- Ryzen 7 9700X:192.4fps
- Ryzen 5 9600X:188.4fps
- Core i9-13900K:188.4fps
- WQHD
- Ryzen 7 9700X:191.3fps
- Ryzen 5 9600X:178.2fps
- Core i9-13900K:185.3fps
- 4K
- Ryzen 7 9700X:146.6fps
- Ryzen 5 9600X:147.5fps
- Core i9-13900K:170.3fps
こちらも、Ryzen 9000シリーズが10%ほど劣る結果になった4K解像度を除き、Core i9-13900Kと比べ極端に遅いという結果にはなっていない。よほどのことがない限り、肉眼では認識できない差だ。テスト中に画面を見ている限り極端に動作が重たくなるといったこともなかった。
ここまで見てきて、ゲーム用途ではかなり優秀であることが分かったRyzen 9000Xシリーズだが、それ以外の用途でも優秀なのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
AMDの新CPUアーキテクチャ「Zen 5」の採用でRyzen 9000/Ryzen AI 300は強くなった? 特徴や変更点を解説
AMDのデスクトップ向けCPU「Ryzen 9000シリーズ」とモバイル向けAPU「Ryzen AI 300シリーズ」では、新しい「Zen 5アーキテクチャ」のCPUコアが採用されている。同アーキテクチャの特徴をかいつまんで紹介していこう。
AMDが「Ryzen 9000シリーズ」の発売を1〜2週間程度延期 初期生産分の品質に問題
AMDが、米国で7月31日に発売する予定だった「Ryzen 9000シリーズ」のハイエンドモデルの発売を延期することが判明した。初期生産分に品質基準を満たさない個体が見つかったことが原因で、正常品への交換をした上で8〜16日遅れで発売される。
AMDがZen 5アーキテクチャ採用でPコア押し! デスクトップ向け「Ryzen 9000シリーズ」を発表 Ryzen 5000XTシリーズの新モデルと共に2024年7月発売予定
AMDが、新型デスクトップCPU「Ryzen 9000シリーズ」を発表した。Zen 5アーキテクチャを初めて採用する製品の1つで、まずはパフォーマンス重視の「X」プロセッサから登場する。Zen 3アーキテクチャの「Ryzen 5000XTシリーズ」にも新モデルが投入される。
「Ryzen 9000シリーズ対応」をうたうマザーボードが複数登場 “次世代”への期待が高まるアキバ
週末の秋葉原では「Ryzen 9000シリーズ」対応のマザーボードがちらほら出てくるようになった。発売時期は未定ながらも、Ryzen 9000シリーズへの期待は高まっているようだ。
「Intel」と「AMD」で並びつつあるCPUの売れ行き 8月には“逆転”も!?
先週(7月21日週)末は、AMDのCPU「Ryzen」の人気がじわじわと高まる中、最新の「Ryzen 9000シリーズ」の発売を待ち望む空気が高まっている。また、標準ポーリングレートが8000Hzの超軽量マウスが約1.7万円で登場したことにも注目したい。




