AMDの新CPUアーキテクチャ「Zen 5」の採用でRyzen 9000/Ryzen AI 300は強くなった? 特徴や変更点を解説(1/4 ページ)
AMDのデスクトップ向けCPU「Ryzen 9000シリーズ」とモバイル向けAPU「Ryzen AI 300シリーズ」では、新しい「Zen 5アーキテクチャ」のCPUコアが採用されている。同アーキテクチャの特徴をかいつまんで紹介していこう。
AMDは7月15日(米国太平洋時間)、最新のCPUアーキテクチャ「Zen 5」に関する詳細を説明するイベントを開催した。本アーキテクチャは、デスクトップ向けの「Ryzen 9000シリーズ」、モバイル(ノートPC)向けの「Ryzen AI 300シリーズ」、そしてサーバ/データセンター/HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けの「第5世代EPYC」のCPUコアで採用されている。
この記事では、イベントでの解説をもとに、Ryzen 9000シリーズとRyzen AI 300シリーズにおけるZen 5アーキテクチャの特徴を解説する。
ゲーミングPCの“本命”「Ryzen 9000シリーズ」の特徴は?
Ryzen 9000シリーズは、主に高性能なデスクトップPCへの搭載が想定されている。現状では型番に「X」が付くハイエンドモデルが発表済みで、最上位から「Ryzen 9 9950X」(16コア32スレッド)、「Ryzen 9 9900X」(12コア24スレッド)、「Ryzen 7 9700X」(8コア16スレッド)、「Ryzen 5 9600X」(6コア12スレッド)の4製品が8月上旬〜中旬にかけて発売される予定だ。
- →AMDがZen 5アーキテクチャ採用でPコア押し! デスクトップ向け「Ryzen 9000シリーズ」を発表 Ryzen 5000XTシリーズの新モデルと共に2024年7月発売予定
- →AMDが「Ryzen 9000シリーズ」の発売を1〜2週間程度延期 初期生産分の品質に問題
Ryzen 9000シリーズの型番の付け方は、Zen 4アーキテクチャを採用する「Ryzen 7000シリーズ」と同様だ。型番の下三桁が同じなら、CPUコアとスレッド数も同一となる。ダイの構成も基本的にはRyzen 7000シリーズと変わりなく、最大8基のCPUコアを集約した「Computeダイ(CCD)」と、入出力プロセッサをまとめた「I/Oダイ(IOD)」をパッケージとして1チップに集約実装するチップレットアーキテクチャを採用している。
Ryzen 9000シリーズの場合、Ryzen 9は「CCD×2+IOD×1」というパッケージで、Ryzen 5/7は「CCD×1+IOD×1」というパッケージだ。
Ryzen 9000シリーズのCCDの製造プロセスは、台湾TSMCの「N4X(4nm)」を採用している。ちなみにZen 5アーキテクチャには同社の3nmプロセスを採用した物理設計版も存在するそうだが、投入時期は未定だという(特に根拠はないが、筆者は高価格でも売れる第5世代EPYCで使われるのではないかと推測している)。
一方、IODは今回もTSMCの「N6(6nm)」で製造されている。今回もIODにはGPU(Radeon Graphics)が内蔵されているが、Ryzen 7000シリーズから設計に変わりはなく、RDNA 2アーキテクチャで演算ユニット(CU)2基の“ミニGPU”となる。「画面を映す」程度の性能しか持たない。
対応CPUソケットは、Ryzen 7000/8000シリーズと同じ「Socket AM5」を引き続き採用する。マザーボードのチップセットはZen 4世代の「AMD 600シリーズ」に引き続き対応する一方で、Ryzen 9000シリーズのリリースに合わせて新型の「AMD 800シリーズ」も登場する。AMD 800シリーズは、上位モデルでUSB4(≒Thunderbolt 3)ポートの実装が必須化されたこと以外は、AMD 600シリーズから基本仕様に大きな変更は加えられていない(詳細は後述)。
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