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50TOPSの新型NPUを搭載! AMDが新型モバイルAPU「Ryzen AI 300シリーズ」を発表 Copilot+ PCを含む搭載モデルは7月から順次登場COMPUTEX TAIPEI 2024

AMDが、NPUの性能を向上したモバイルモバイル向けAPU「Ryzen AI 300シリーズ」をリリースした。NPUのピーク性能は50TOPSで、Microsoftの定める「新しいAI PC」の要件も満たしている。【訂正】

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 AMDは6月3日(台湾時間)、モバイル向け新型APU(GPU統合型CPU)「Ryzen AI 300シリーズ」を発表した。本APUを搭載するノートPCは、7月から順次発売される予定だ。

【訂正:12時45分】AMDから「スライドの一部に誤りがあった」旨の連絡があり、正しいスライドと差し替えると共に、関連する記載を訂正

Ryzen AI 300シリーズ
Ryzen 8040シリーズ」が登場してから半年程度で登場するRyzen AI 300シリーズは、CPUコア、GPUコア、NPUコアの全てを刷新している(詳細は後述)
チップイメージ
Ryzen AI 300シリーズのチップイメージ

Ryzen AI 300シリーズの概要

 Ryzen AI 300シリーズは、AMDが「Copilot+ PC向けの最良のプロセッサ」とうたう通り、高性能NPUを統合した新型のモバイル向けAPUだ。「Strix Point」という開発コード名で開発が進められていたことでも知られる。

 先代の「Ryzen 8040シリーズ」、さらに先代の「Ryzen 7040シリーズ」にNPUレスモデルがあり、競合のIntelからそのことを突かれたことを受けてか(参考記事)、今後のNPU付きAPUは「Ryzen AI」のブランドで販売していくようだ(モデル名のルールは後述する)。

 CPUコアは、最新の「Zen 5アーキテクチャ」となる。AMDの説明によると最大12コア24スレッド構成(従来比で4基8スレッド増)となるそうで、従来のモバイル向けAPUよりも多くのCPUコアを備えている。同アーキテクチャの主な改良点は以下の通りだ。

  • 分岐予測の正確性/レイテンシー(遅延)の改善
  • パイプラインとベクターの拡大による処理スループット(実効速度)の高速化
  • CPUウィンドウサイズの拡大で、より多くの並行処理を可能に

 GPUコアは、現行のRDNA 3アーキテクチャを改良した「RDNA 3.5アーキテクチャ」となる。現状で分かっている情報は演算ユニット(CU)が最大16基となった(従来比で4基増)ということだけで、他に「0.5」分のアップデートがあるのかは明らかとなっていない。

 一番の改良点となるNPUは「XDNA 2アーキテクチャ」のものに刷新される。Ryzen 7040/8040シリーズで使っていた「XDNAアーキテクチャ」のNPUと比べると、演算能力は最大5倍、電力効率は最大2倍改善されている。ピーク時の処理パフォーマンスは50TOPS(1秒当たり50兆回)で、Microsoftが定めた「新しいAI PC(Copilot+ PC)」の要件を満たす。

全部刷新
Ryzen AI 300シリーズでは、CPU/GPU/NPU全てのコアが刷新されている
XDNA 2
Ryzen AI 300シリーズのNPUコアは新しい「XDNA 2アーキテクチャ」ベースで開発されている
トップ
8bit演算時のAI処理のピークパフォーマンスにおいて、最強と言われていたQualcommの「Snapdragon Xシリーズ」比でも優位に立っている。ただし、これはあくまでも各社の公称ピーク性能なので、実際の性能は環境によって左右される
FP16
Ryzen AI 300シリーズのNPUは、世界で初めてブロックFP16(半精度浮動小数点数)演算に対応している。これにより、演算におけるパフォーマンスと精度の両立がしやすくなったという
オンデバイスLLM
オンデバイスでLLM(大規模言語モデル)を処理した際に、最初のトークンを返すまでの速度を比較すると、Intel Core Ultra 7 155HのNPU比で最大5倍高速だという

Ryzen AI 300シリーズのモデル名規則

 「AI PCの時代に相応しいモデル名の付け方にする」ために、Ryzen AI 300シリーズは従来のモバイル向けRyzen APU/CPUと異なるモデル名規則が適用される。

 例えば、今回発表される最上位モデル「Ryzen AI 9 HX 370」の場合、モデル名の意味は以下の通りとなる。

  • 9 HX:ブランドレベル
    • 数字は従来通り「3」「5」「7」「9」(高いほど高性能)
    • アルファベットはサフィックス(従来はプロセッサ番号の後ろにあった)
      • 「HX」は最高性能重視モデルという意味
  • 370:プロセッサ番号
    • 百の位(3):シリーズ名(今回であればRyzen AI 300シリーズであることを示す)
    • 十の位と一の位:モデル(SKU)を特定する番号

 特徴としては、サフィックスを「プロセッサ番号の後ろ」から「ブランドレベルの数字の後ろ」に移動したことが挙げられる。

モデル名
Ryzen AI 300シリーズでは、新しいモデル名のルールが適用される。Ryzen AI 300シリーズは、Ryzen 7040シリーズを「第1世代」とした場合に「第3世代」となるため、いきなり「300」という数字が割り当てられたようだ
ロゴシール
Ryzen AIのロゴバッジは、Ryzen 8040シリーズから採用されたデザインを踏襲している。APUを搭載している場合は、画像のようにRadeon Graphicsロゴがセットになったバッジも利用できる

Ryzen AI 300シリーズのラインアップ

 現時点において、Ryzen AI 300シリーズは以下の2モデルのみ用意されている。

  • Ryzen AI 7 365
    • CPUコア:10コア20スレッド(2GHz〜5GHz)
    • GPUコア:Radeon 880M(12CU)
    • L2+L3キャッシュ:合計34MB
    • TDP(熱設計電力):28W(設計上は15〜54Wまで調整可)
  • Ryzen AI 9 HX 370
    • CPUコア:12コア24スレッド(2GHz〜5.1GHz)
    • GPUコア:Radeon 890M(16CU)
    • L2+L3キャッシュ:合計36MB
    • TDP(熱設計電力):28W(設計上は15〜54Wまで調整可)
ラインアップ
Ryzen AI 300シリーズのラインアップ
Snapdragon X Elite
ArmアーキテクチャベースのCPUである「Snapdragon X Elite」では、世に多く出回っているx86(x64)アプリをエミュレーションで動かさなければならない。そのこともあってか、AMDはRyzen AI 300シリーズを「エミュレーション抜きで快適なCopilot+ PCですよ」という感じでアピールしていく作戦なのだと思われる
M3チップ
その矛先(?)はApple M3チップ搭載のMacBook Airにも向いており、Ryzen AI 9 HX 370は「超薄型/軽量のノートPCにおいてベストな生産性とコンテンツ制作パフォーマンスを発揮」としている
Core Ultra
当然だが、Ryzen AI 9 HX 370との比較対象には一番の競合「Core Ultra 9 185H」も含まれる。特に負荷の重い作業では、Ryzen AI 9 HX 370の性能は高いことを主張している
ゲーミングも最適
Core Ultra 9 185Hとは、ゲーミングにおける比較も行われている。「平均フレームレートを重視するなら、やはりRyzen」というアピールでもある
主要なOEMメーカーから発売される
Ryzen AI 300シリーズを搭載するノートPCは、7月から主要なメーカーから順次発売される
ASUS
ASUSTeK Computer(ASUS)からは5モデルが登場する
MSI
MSIからは3モデルが登場する

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