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インタビュー

自分の庭のように使ってもらいたい──ソニービル跡地「Ginza Sony Park」が単なるショールームではない理由(4/4 ページ)

Ginza Sony Parkを運営するソニー企業の社長で、Ginza Sony Park Project主宰の永野大輔氏に、Ginza Sony Parkの狙いを聞いた。

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ターゲットの客層はあえて絞らない

 Ginza Sony Parkは、ターゲットとしている特定の層はおらず、銀座への来街者全員が対象だという。永野社長は「銀座の街歩きに疲れたときに気軽に休憩ができる場所であり、思い思いに過ごせる場所として利用してもらいたい」と説明する。

 その一方で、Ginza Sony Parkで開催されるプログラムについては、それぞれの目的に応じてターゲット層が設定される。

 例えば、1月26日から開催する第1弾プログラムの「Sony Park展 2025」では、30歳以下の若い世代の来場を期待しており、永野社長は「10年先のソニーファン作りを目指す。Ginza Sony Parkでの体験を、My First Sonyの体験にしてもらいたい」と抱負を述べた。

 今回の「Sony Park展 2025」のような複数のフロアを使用した大規模なプログラムは、年4回程度の開催を想定している。その他に、ソニーグループの各企業や外部企業に対して、フロアを貸し出すといったプログラムを見込み、年間では10回のアクティビティー開催を予定している。稼働率は6割程度とし、「残り4割は、公園としての余白を維持する」という運営方針もある。

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1月26日から開催している第1弾プログラム「Sony Park展 2025」
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地下2階では、「音楽は、旅だ。/ with Vaundy」のアクティビティーが行われている。
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「僕の心の曖昧な地層」をテーマに、Vaundyが選曲した約200曲を7つのテーマにわけて聞くことができる
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ソニーのヘッドフォンを貸し出してくれる
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ヘッドフォンをジャックに差し込むと楽曲を聞くことができる
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オレンジのテープに記されたメッセージはVaundyが考えたものだという
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レコードやカセットテープなども展示。段ボールでの造形は音楽の「地層」をイメージしている
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昭和世代にとって懐かしい楽曲もある
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3階は「半導体は、SFだ。/ with YOASOBI」
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YOASOBIの楽曲である 「HEART BEAT」に合わせて、来園者の心拍をセンシングして、来園者一人一人の「心音オブジェクト」を作る
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人差し指で心拍数を測定する。心音オブジォェクトはスマホで持ち帰ることができる
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YOASOBIの2人も心拍を計測したという
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心拍を計測後、ブースの中に入る
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NHK総合「YOASOBI 18祭(フェス)」のテーマソングとなった「HEART BEAT」を用いて、1000人の18歳世代が参加した合唱と、心拍オブレジェクトが共鳴する
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心音オブジェクトの動きをセンシングして、床面の「Haptic Floor」が振動する仕掛けも
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12台のプロジェクターを使って投影している
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4階では「ファイナンスは、詩だ。/ with 羊文学」
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羊文学のボーカルである塩塚モエカさんのナレーションと、言葉が浮かんでは解けていく演出を組み合わせている
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羊文学の楽曲である「more than words」と「光るとき」を使用し、水と光が融合した演出を体験できる
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ハプティクスを活用した「Active Slate」により、水の上を歩いているような体験ができる

 Ginza Sony Parkの収益は、プログラムの実施を通じたフロアの利用料や企画料、壁面への広告掲示などとなり、多くはソニーグループの各社から得ることになりそうだ。

 だが、Ginza Sony Parkでは、ソニーの製品やコンテンツ、サービスを展示しないプログラムもある。それでもアンケートを行うと、「ソニーらしい」という評価が挙がるという。

 「銀座の一等地を公園にするという、人がやらないことをやるのが、ソニーらしさにつながっている。ソニーの製品、コンテンツ、サービスを展示しなくても、ソニーらしさは失わないことが分かった。その点では、ソニーブランドの発信に貢献することができている」と自信を見せる。

 そして、永野社長はこんなに風にも語る。

 「12年間に渡るGinza Sony Park Projectが完了し、いよいよゴールテープを切ることになると思っていたが、その感覚がない。Ginza Sony Parkはプラットフォームであり、そこで何をやるかが重要だ。しかも、やりたいことがたくさんありすぎる。これからがスタートになる」

 ソニービル時代の「銀座の庭」は10坪であった。これが、Ginza Sony Park Projectでは、延床面積1320坪となり、「銀座の公園」として、その役割が132倍に広がる。

 Ginza Sony Parkの銀座の街に、どんな役割を及ぼすのか、そこからどんな発信が行われるのか。これからの動きが注目される。 

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