GeForce RTX 50シリーズは動画エンコーダー/デコーダーも進化 「4:2:2フォーマット」に対応して書き出しが110分→10分に(1/2 ページ)
ハイエンドモデルを皮切りにまもなく発売される「GeForce RTX 50シリーズ」搭載のグラフィックスカード。同シリーズは特に動画を取り扱うユーザーにも恩恵をもたらす。
NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 50シリーズ」を搭載するグラフィックスカードがまもなく登場する。
本シリーズといえば、AI(人工知能)のパフォーマンス向上を重視した新しい「Blackwellアーキテクチャ」に注目が集まりがちだが、時代の変化に合わせて動画のエンコーダー/デコーダーも進化している。
「4:2:2」で撮影できるカメラが安くなってきた
昨今、写真や動画はデジタルフォーマットで撮影することが多い。撮影時にデジタルカメラセンサーが取り入れたデータは、一般的に撮影デバイスに内包されたエンコーダーを通して圧縮して保存されるが、昨今では無圧縮/無加工で保管できるデバイスも多い。この無圧縮/無加工で保管したファイルのことは「RAWファイル」と呼ばれる。
無圧縮/無加工ゆえに、RAWファイルはかなり巨大となってしまう。そこで一般的な写真/動画撮影デバイスは、色情報の一部を間引いて保存することでデータ量を削減している。色情報は大きく「輝度(Y)」「青方向色相(Cb)」「赤方向色相(Cr)」に分けられており、基本的に8画素(4×2ピクセル)単位で管理される。
主な色情報フォーマットは以下の通りだ。
- 4:4:4
- 輝度/Cb/Crの情報を省かずに記録
- 真の意味での「RAWファイル」となるが、データ量がかなり巨大となる
- プロ向けの一部カメラで撮影可能だが、超高速なデータストレージが欠かせない
- 4:2:2
- 輝度情報は省かない一方、Cb/Crの情報は水平方向に半分間引く
- 色相情報を水平方向に半分にすることで、データ量は12分の8=3分の2に削減可能
- 業務用動画デバイスが出力するデータは、このフォーマットが一般的
- 4:2:0
- 輝度情報は省かない一方、Cb/Crの情報を水平/垂直の両方向で半分間引く
- 色相情報を水平/垂直両方向で半分とすることで、データ量は12分の6=半分に削減可能
- 家庭用映像デバイスや家庭用映像コンテンツは、このフォーマットが一般的
家庭用で一般的な「4:2:0」フォーマットを基準に考えると、「4:2:0」は色に関する情報が2倍となる代わりにデータ量が1.3倍に、「4:4:4」は色に関する情報が4倍となる代わりに、データ量が2倍になる。
輝度/Cb/Crの情報を省かない「4:4:4」フォーマットは理想だが、データ量が膨大になってしまうため家庭用はもとより業務用でも扱いが難しくなってしまう。業務用では「4:2:2」フォーマットが扱いやすい
4:2:2フォーマットで撮影できる業務用カメラは、かつてはとても高価だった。しかし現在はエントリークラスの製品なら10万円台で入手できるようになっており、撮影現場での導入も進んでいる。
問題は、4:2:2フォーマットのエンコード/デコード環境だ。
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