有力IT企業は“ガレージ”から始まった――「アメリカ西海岸」の“IT名所”を巡る(4/5 ページ)
米国の西海岸(太平洋側)というと、シリコンバレーを思い浮かべる人も多いと思う。シリコンバレーの発祥の地と言われるのが、Hewlett-Packard(現HP)の創業の地でもある「HP Garage」だ。Windowsを作る「Microsoft」の本社も、西海岸に本社を構える。これらの「IT名所」を訪問してみよう。
シアトルに行ったら「Microsoft」のキャンパスに行ってみよう
多くのPCユーザーにはおなじみのMicrosoftだが、その本社は米ワシントン州のレドモンド市にある。「レドモンドって聞いたことないけど、どこ?」という人もいると思うので、まず場所を説明する。
ワシントン州は、米国西海岸の北端にある州だ。少し言い換えると、米国本土において最も北西にある。首都も「ワシントン(ワシントンD.C.)」を名乗るが、こちらはどちらかというと東海岸(大西洋)に近い内陸部にあるので、混同しないように気を付けたい。
ワシントン州の州都はオリンピア市だが、日本人にとってなじみ深いのは港湾都市「シアトル」の方だろう。シアトル市はアジア方面から米国への玄関口でもある「シアトル・タコマ空港」を抱えるなど、交通の要衝として機能しており、日本人も多い。
Microsoftの本社があるレドモンド市は、ワシントン湖を挟んでシアトル市の“対岸”(東側)に位置する。シアトル市内からMicrosoftの本社に向かう場合、以前はローカルバスを乗り継ぐ必要があり、レンタカーがないと移動に難儀することもあった。
しかし近年、シアトル市内を中心にライトレール(電車)が整備され、空港とシアトルの中心市街地間の移動が楽になった。
このライトレールはSound Transitが「Link」というブランドの元で運営しており、シアトル市内を南北に結ぶ「1 Line」と、ワシントン湖を挟んだ対岸にあるベルビュー市とレドモンド市を結ぶ「2 Line」、タコマ市内を走る「T Line」の3路線を営業している。2 LineにはMicrosoft本社キャンパスの至近にレッドモンドテクノロジー(Redmond Technology)駅があり、Microsoft従業員の通勤にも使われている。
1 Lineと2 Lineは現在接続されていないが、2025年内をめどに2 Lineの延伸によって1 Lineと直結する予定で、延伸後はLinkだけで空港からMicrosoft本社に行けるようになる。T Lineも1 Lineの終点であるタコマドーム駅まで延長される予定で、新線として「3 Line」「4 Line」も加わることで、シアトル周辺の公共交通ネットワークは飛躍的に改善される見通しだ。
まずLinkを利用する前提知識として、少しだけシアトル、タコマ、そしてレドモンドの3都市の位置関係を理解する必要がある。下図を確認すると、左端に「Downtown Seattle」とある。これがシアトル市の中心部だ。
シアトル・タコマ空港はシータック市(シアトル市とタコマ市の中間)にある空港で、ワシントン湖よりさらに南側にある。空港からは、マーサー島(1島がまるごとマーサー市)を介してベルビュー市まで道路がつながっている。
最初にシアトル市内に行きたいのであれば、空港からLinkの1 Line、あるいはバスで北上することになる。シアトル市を迂回(うかい)して直接Microsoft本社方面に向かう場合は、現状ではマーサー島経由で2 Lineの始発駅であるサウスベルビュー(South Bellevue)駅まで移動することになる。
地図右上にあるRedmond Technology駅は、先述の通りMicrosoft本社の最寄り駅……なのだが、厳密には高速道路で分断されている2つの敷地の中間点、つまり本社敷地の“ど真ん中”に所在する。地図で濃い青色で示した線が、サウスベルビュー駅とレッドモンドテクノロジー駅を結ぶ現状の2 Lineの姿だ。
2025年内に行われる予定の2 Lineの延伸では、レッドモンドテクノロジー駅の北側に「ダウンタウンレッドモンド(Downtown Redmond)駅」が新設される。また、赤い線で示した通り、サウスベルビュー駅の南方からマーサー島の「マーサーアイランド(Mercer Island)駅」を経由して1 Lineの「インターナショナルディストリクト/チャイナタウン(International District / Chinatown)駅」に合流し、1 Lineの線路を使ってシアトル市の中心地に向かう計画となっている。
延伸が予定通り行われた場合、シアトル市の中心街からMicrosoft本社(≒レッドモンドテクノロジー駅)に行く場合はLine 2として運行されるLinkに乗ればよくなる。また空港からMicrosoft本社に向かう場合も、1 Lineに乗ってインターナショナルディストリクト/チャイナタウン駅まで向かい、2 Lineに乗り換えるだけで済むようになる。
ライトレールゆえに移動にはそれなりに時間はかかると思われるが(現状の運転速度から考えると1時間程度)、現状の運賃は片道3ドル(約460円)なので、シアトル観光に無理なく組み込めるだろう。
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