捨てたのは“赤ポッチ”だけじゃない? レノボの新フラグシップ「ThinkPad X9 14 Gen 1 Aura Edition」の実像に迫る(1/5 ページ)
象徴ともいえる「TrackPoint」を省いたThinkPad――それが「「ThinkPad X9」だ。今回は、ある意味で“らしくない’ThinkPadの14型のエントリークラスを実際に試してみる。
レノボ・ジャパンの「ThinkPad X9 14 Gen 1 Aura Edition」は、同社のビジネスノートPCブランド「ThinkPad」に新たに加わったフラグシップモデルだ。1月7日(米国太平洋時間)にグローバルで発表され、日本でもあまり間を取らずに発売された。
1992年にIBMが初代機を世に送り出して以来、ThinkPadは多くのユーザーに支持されてきた伝統のブランドだ。しかし、ThinkPad X9シリーズは、その象徴の1つであるスティック型ポインティングデバイス「TrackPoint(トラックポイント)」を搭載していない。TrackPointのないThinkPad――1月に発表された際は、SNSなどでThinkPadファンがかなり動揺していた。
そんなThinkPad X9シリーズは、「ThinkPad X1シリーズと並ぶ新たなフラッグシップ」と位置づけられている。
画面サイズは「14型」「15.3型」の2種類から選択可能で、今回レビューする14型モデルは最軽量構成で約1.21kgと、比較的薄型/軽量な設計となっている。モデル名に含まれる「Aura Edition」は、LenovoとIntelの“密接な”共同開発により生み出された製品であることを示しており、UEFI(BIOS)の電源投入後に出てくるロゴにも刻まれている。
今回、ThinkPad X9 14 Gen 1 Aura Editionの「Core Ultra 5 226V」搭載するカスタマイズ(CTO)モデルを借りることができたので、“象徴を捨てた”ThinkPadの実像に迫っていこう。
メインターゲットはThinkPadユーザー“以外”
ThinkPad X9シリーズにTrackPointが搭載されなかった理由については、別記事で触れられている。
ThinkPadをより幅広い層へ訴求すべく、その“障壁”となっていたTrackPointを取り除き、大きなタッチパッドを搭載した――そういうことのようだ。つまり、本製品のターゲットは「既存のThinkPadユーザー“以外”」なのである。
別記事にあるLenovoの説明は、そのまま素直に受け取ってよいと感じる。特に法人営業の現場では、「TrackPointがないThinkPad」があった方がいろいろと都合が良いのだろう。
長年ThinkPadを使っているユーザーにとっては「TrackPointはThinkPadの大きな(場合によっては無二の)魅力」であり、不可欠だと捉えている人も珍しくない。しかし、ThinkPadを使ったことのない人、あるいは大きなタッチパッドを備えるノートPCに慣れてしまった人にはTrackPointに抵抗感を覚える声も少なからず聞く。操作感云々以前に「見た目的にすっきりしていない」だけで敬遠されてしまう可能性もある。
ThinkPad X1シリーズを始めとする、いわゆる「Classic ThinkPad」からTrackPointが消えたのであれば、ある意味でアイデンティティーを揺るがす“大問題”であるが、今回はそうではない。Classic ThinkPadの新モデルは、今まで通り「TrackPointのあるThinkPad」なので、TrackPointが必要ならそちらを買えばいい。
本製品は、既存のThinkPadユーザー“以外”をターゲットにしているのだから、TrackPointがないことはマイナスにならない。むしろ、重要なのは、TrackPoint以外の部分でのThinkPadの本質の部分、ビジネスPCとしての実力である。
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