10GbE対応ルーターやハブ、無料の管理ツールからOpenWrtベースのWi-Fi 7ルーターまで――「Interop 2025」で最新製品やテクノロジーを見てきた(1/2 ページ)
日本最大級のネットワーク/AI技術に関する展示会「Interop Tokyo 2025」が幕張メッセで開催された。この記事では、Linksys、キオクシア、ティーピーリンクジャパン、ネットギアジャパン、Googleの5社の展示を紹介する。
6月12日から14日まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「Interop Tokyo 2025」は、日本最大級のネットワーク/AI技術に関する展示会だ。その模様を2回に分けてお伝えする。
この記事では、Linksys、キオクシア、ティーピーリンクジャパン、ネットギアジャパン、Googleの5社の展示を紹介する。
Linksys:OpenWrtベースのWi-Fi 7ルーターが約5.5万円で登場
ネットワーク機器メーカー「Linksys(リンクシス)」のブースで目を引いたのは、黒いボディーのWi-Fi 7ルーター「Velop(ヴェロップ) WRT Pro 7」だ。想定価格は5万4980円で、6月25日の発売を予定している。
Velop WRT Pro 7は、Wi-Fiルーター向けLinuxディストリビューション「OpenWrt」をベースにしている点が最大の特徴だ。「透明性が最大の特徴です」と、担当者は説明する。
通信の動作が1から10まで“見える”オープンソースルーターは、セキュリティー意識の高い企業にとっては魅力的に映るかもしれない。またプログラムに詳しい人なら、どういう動作をしているかを確認できる上、コミュニティーの目による監視効果も期待できる。
興味深いのは、このOpenWrtがLinksysのルーターをベースに約20年前に始まったという歴史だ。それが今回Linksysブランドの製品に“公式”展開されるのは感慨深い。本モデルはSSHログインも可能で、ターミナルからカスタムコマンドを流し込むこともできる。
担当者は「ChatGPTでコマンドを生成してもらって流し込むこともできますよ」と説明する。例えば子供のWi-Fiを深夜に切りたいといった設定も、AIの助けを借りれば上級者でなくても可能になるというわけだ。
一方で、従来の一般消費者向け「Velopシリーズ」では、今後展開予定のWi-Fi 7対応モデルが参考展示されていた。スマートフォンアプリで簡単に設定できることが特徴だ。
キオクシア:宇宙実証からAIソリューションまで、SSDの可能性を広げる
SSDを始めとするフラッシュストレージで知られる「キオクシア(KIOXIA)」のブースは、「当社のSSDは国際宇宙ステーション(ISS)で使われています」という説明から始まった。意外すぎて、筆者は説明員に思わず聞き返してしまった。
ISSでは従来、宇宙飛行士が行う実験データの地球への伝送に12時間もかかっていたという。そこで性能の良いPCをISSに設置し、現地でデータ解析を行うことにした。結果、演算時間は6分、伝送時間は2秒にまで短縮されたそうだ。
こういう過酷な環境では、いわゆる「ミリタリースペック」の製品が使われることが多く、ストレージ(SSD)も同様……と思いきや、採用されたのはキオクシア製の民生品SSDだったという。
「地上よりも過酷な環境でも、当社製品の丈夫さと安定性が評価されました」と、担当者は胸を張る。確かに、宇宙での実証は最高の品質保証といえるだろう。
メモリ製造の技術においては、第8世代NAND「BiCS FLASH」の製造方法の展示が興味深かった。従来は1枚のウエハーで作っていたものを、「メモリセル部分」と「制御部分」を別々に製造し、最後に貼り合わせるという。
「部品ごとに最適な製造条件で作れるので、性能が大幅に向上しました」とのことで、以前はもこうした“重ね合わせ”という発想がなかったようだ。
さらに注目したいのが、キオクシアが1月に公開したAI関連ソリューション「KIOXIA AiSAQ(アイザック)」だ。
通常、AIシステムでベクトル検索を行うには高価なGPUと大量のメモリを必要とするが、このソフトウェアを使うと、SSDを使って同様の処理を実現できるという。結果として、消費電力とコストを大幅に削減できる。
担当者は「RAG(検索拡張生成)を使ったチャットボットなどのAIシステムで、大量のデータから適切な情報を探し出す処理に使えます」と語る。AI時代の新しいアプローチとして注目に値する。
「KIOXIA AiSAQ」では、AIの近似最近傍探索をSSDで行える。水色がAiSAQ適用時のパフォーマンスを示しており、検索精度をほとんど損なわずにシステムメモリ(DRAM)使用量が大幅に削減されている
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