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4年ぶりの新作「ScanSnap iX2500」を試す 自炊ブームは去っても、その価値は健在か?(1/3 ページ)

「ScanSnap iX500」(2012年発売)で満足している筆者にどんな驚きを与え、また現行モデルのユーザーが抱える不満をどう解消するのか。

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 PFUが6月に発売した「ScanSnap iX2500」は、同社が手掛けるドキュメントスキャナーの最新フラグシップモデルだ。2021年に登場した「ScanSnap iX1600」以来、4年ぶりの新製品となる。直販価格は5万9400円だ。

 紙の書籍や書類を電子化する“自炊ブーム”のピークは過ぎているが、2025年のドキュメントスキャナーは、どのように進化しているのだろうか。「ScanSnap iX500」(2012年発売)で満足している筆者にどんな驚きを与え、また現行モデルのユーザーが抱える不満をどう解消するのか。

 本記事ではiX2500の魅力を、かつての自炊スキャナー愛好家の視点も交えつつお伝えしたい。

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「ScanSnap iX2500」

iX500を12年間使ってきたけれど……

 筆者はScanSnapを使い始めてもう24年になる。思い返せば2001年の初代モデル「fj-4110EOX」から始まり、2011年の「S1500」、そして2012年のiX500と愛用してきた。

 その後に登場したiX1500や「iX1600」「iX1400」を見送ったのは正直、iX500にあまり不満を持っていなかったからでもある。どうせPCにつないで使うのだからタッチパネルはなくてもいいと思っていたし、スキャン速度なども十分なレベルだった。

 だが昨今は一般家庭のデジタル環境も大きく変化した。行政への届け出などもスマホから簡単にできる時代だが、申請内容によっては住民票や課税証明書を添付しなければならないこともある。

 さまざまな申請に関しても「PCからやればいいや」と思っていたのだが、今はモバイルファーストの時代だ。プリントに印刷されたQRコードに始まり、モバイル用に最適化されたフォームなど、PCよりもスマートフォンから申し込んだ方が何倍も楽ということも多い。

 カメラの性能も上がってはいるものの、紙のデータ化に関して言えば、ライティングに左右されないドキュメントスキャナーの画質の高さと均質さは比較にならない。

 iX500もWi-Fi接続に対応済みだが、筆者はずっとPC専用としてUSB接続で満足して使っていた。どうしてもスマートフォンからスキャナーを使いたいときはクラウドサービスの「OneDrive」などを経由させていたが、それも自分のスマホに限られる。

 PCだけでなくスマホやタブレットなど、家族一人一人が複数台のデジタル機器を持つことが当たり前になっている今となっては、ワイヤレスで複数の機器から利用できることが必要不可欠となりつつある。そういった部分についてもiX2500に期待しているところだ。

ハードウェアの進化は止まらない

 ScanSnapはA4サイズ(A3キャリアシート使えば最大A3サイズまで対応)までのスキャンに対応している。自動給紙機構(ADF)を搭載し、原稿をまとめてセットすれば自動的に両面をスキャンしてくれるため、大量の書類や裁断した書籍などの電子化に大きな力を発揮する。

 当然ながら、12年前のiX500から数字上のスペックは大幅に進化している。原稿搭載枚数はiX500/iX1600の50枚に対して、100枚と倍増。読み取り速度はiX500の毎分25枚、iX1600の毎分40枚に対して毎分45枚に向上(スーパーファイン300dpiまで)している。

 光学解像度は600dpiで変わらないが、業務用スキャナーで採用されている「クリアイメージキャプチャ」という技術を用いて色ズレやモアレの発生を低減しているという。

 このあたりの効果によって「大きく画質が向上した」という印象はないが、iX1600から搭載されている縦筋軽減機能など、安定した高品質のスキャンを実現している。

 また、iX2500では紙送りトラブルを未然に防止する機能も搭載されている。これは斜めにセットされた原稿が給紙される際に折れ曲がったり、ひどいときには破れてしまったりすることを防ぐ保護機能で、傾きを検知すると破損する前に自動停止するようになった。

 そのため、原稿を一度セットすれば、スキャンが終わるまでその場で見守る必要はない。原稿搭載枚数が100枚に倍増されたこと、読み取り速度の向上と合わせて他の作業をしながらのスキャン効率が大幅に向上している。

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ScanSnap iX2500の梱包(こんぽう)材には化石資源由来のバージンプラスチックが使用されていない(粘着物部品を除く)
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レシートや名刺などを効率よくスキャンできる名刺/レシートガイドが付属する
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カバーの両端を斜めに落としたデザイン
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本体の前面
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本体の背面
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本体の右側面
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カバーがそのまま原稿台になる。スタッカーは下から引き出す
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2倍になった原稿搭載枚数をしっかり受け止めるスタッカー
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ガイドは50.8〜216mmまで対応する
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ガイドを最短まで閉じた状態
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名刺/レシートガイドを装着した状態でもA4用紙50枚がセットできる
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PCとの接続はUSB Type-C端子だ(USB Type-C→USB Standard-Aケーブルが付属する)

 その他、A3やB4サイズのドキュメントをA3キャリアシートなしで2つ折りで読み込むこともできる。iX1600/iX1500/iX1300にも搭載されていた機能だが、地味にうれしい機能だ。

 ただし、2つ折りで読み込むためには封筒などの重なりのある原稿の際に使用するフィード「手差しスキャン」のバリエーションである「手差しスキャン(表裏合成する)」を選択する必要がある。

 おそらく、重送を防止するためのブレーキローラーや重なり検知を制御しているのだと思われる。誤って通常フィードを選択すると、確実に原稿がぐしゃぐしゃになる(保護機能によってすぐに停止する)ので、注意してほしい。

 このようなハードウェアの進化は、筆者のようなiX1400/1500/1600世代をスキップしたiX500ユーザーにとってはかなり魅力的だ。だが、自炊も一段落した今となっては「今の製品が壊れたら考えよう」と考えるユーザーも多いかもしれない。実際、iX2500を触るまでは筆者もそういう考えだった。

 その考えを変えたのが、ハードウェア(iX2500)、ソフトウェア(ScanSnap Home)、クラウドサービス(ScanSnap Cloud)という三位一体の組み合わせによって実現された、「ScanSnap体験の完成形」だ。

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