4年ぶりの新作「ScanSnap iX2500」を試す 自炊ブームは去っても、その価値は健在か?(2/3 ページ)
「ScanSnap iX500」(2012年発売)で満足している筆者にどんな驚きを与え、また現行モデルのユーザーが抱える不満をどう解消するのか。
ハードだけではない、ScanSnap体験の完成形
前述したように、筆者はiX500の無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)機能を全く使っていなかった。設置場所もPCに近く、USB接続の方が信頼性も高く、利用メリットがなかったからだ。
最近になってスマホから利用したいことが増え、あらためてモバイル機器から利用しようとしたのだが、残念ながらiX500用のモバイルアプリ「ScanSnap Conect Application」は2024年8月29日に提供が終了していた。
後継は本記事でも紹介するモバイル版「ScanSnap Home」だが、こちらはiX500は対象機種となっていない。つまり、現在はiX500をスマートフォンから利用する方法はなくなっている。また、PCからの利用も1台からのみであり、無線LANはUSBのワイヤレス化以上でも以下でもない扱いだった。
だが、iX1600以降のWi-Fi搭載モデルでは複数機器で使用することを前提とした利用形態へとガラリと変わった。つまり、特定のPCの周辺機器ではなく、ネットワークを経由して複数の端末と接続し、クラウド経由でもデータ送信ができる、1つのスマートノードとして動作するようになった。
iX2500を利用できる機器は同時に1台だけという点は変わらないが、他の機器から使いたいときでも、その切り替えが非常に簡単にできる。
既に他のPCやスマートフォンと接続している場合は、新しく接続したい機器から「スキャナに接続」をクリックするだけでいい。接続済みの機器で接続解除といった操作は必要ない。本体のタッチパネルからも接続先を切り替えることができるため、スキャナーとPCが離れていてもわざわざPCの前に戻る必要もない。
こうした複数機器からの利用を実現するため、ScanSnapにはユーザー/プロファイル/デバイスという概念が導入されている。
デバイスはPCやスマートフォンなど、プロファイルはそれら各デバイス上で各ユーザーが作成したスキャン設定のことだ。プロファイルにはそれがどのユーザーが、どのデバイスで設定したものかという情報も含まれている。本体で表示するプロファイルとして「すべてのプロファイル」を選択しておくと、デバイスに関係なく全てのプロファイルが表示され、全てのデバイスと接続された状態になる。
逆に、どのデバイスにも接続していないときでも利用できるのがクラウドプロファイルだ。ScanSnap Homeから「クラウドサービス(PCレス)」にあるテンプレートを選択すれば、ScanSnap自身がScanSnap Cloudを経由してクラウドサービスにスキャンデータを送ることができる。ScanSnap Cloudを利用する仕組みのため、ScanSnap Cloudアカウントに登録する必要がある点には注意が必要だが、利用料無料なのでためらう理由はないだろう。
これらプロファイルの管理がとにかく柔軟だ。まず、PCやスマートフォン上のScanSnap Homeで作成したプロファイルは異なるモデルのScanSnap間でコピーできる。新しいモデルに買い換えたり、買い足したときに再設定する手間を大幅に省くことが可能だ。
また、プロファイルはエクスポートが可能なので、他のユーザーが作成したプロファイルを自分の環境のScanSnapで利用することも容易だ。オフィスなどで重宝する機能だが、さらに複数のiX2500を利用している場合にはその間でのプロファイル自動同期にも対応する。複数台/複数モデル/複数ユーザーの利用を想定した手厚い設計であることが分かるだろう。
このような複数デバイス、複数ユーザーでの快適な利用こそがイマドキのスキャナー、ScanSnap体験の完成形だといえる。その体験の実現にはハード(iX2500)、ソフト(ScanSnap Home)、クラウドサービス(ScanSnap Cloud)の3つがなくてはならないが、ソフトもクラウドサービスも無料であり、ハードの購入費用だけで手に入れられるのだ。
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