西川善司のパソコン遍歴――ゲーム三昧の青春時代は“おじさん”になった今も続く:私のPC遍歴30年(1/5 ページ)
ITmedia PC USER編集部から「創刊30周年記念」で、執筆陣のPC遍歴を募集しているということで、筆者にも依頼が来た。そこであえて「30年」にこだわらず、筆者が歩んできたPC遍歴を紹介しようと思う。
ITmedia PC USER編集部から「創刊30周年記念」で執筆陣のPC遍歴を募集しているということで、筆者にも依頼が来た。
“最近の”話をしてもつまらないと思うので、あえてすごい昔の話をすることにしたい。
「私のPC遍歴30年」とは?
2024年9月にPC USERは30周年を迎えました。そこで日頃から弊誌で記事を執筆しているライター陣に「私のPC遍歴30年」と題して、自身のPCにまつわる過去を振り返ってもらいます。あなたにとっても「懐かしい」と感じる話題が飛び出すかも?
今回の著者:西川善司
西川少年、「ゲーム」と出会う
思い返せば、自分は機械や工作が好きな少年で、特に絵を描くのが好きだった。コンピュータゲームは「描かれた絵が動く機械」であり、「その機械と遊ぶことができる」ということで、その存在を知った直後から「自分の憧れを凝縮した存在」として、この身を捧げることを誓ったのであった(笑)。
ただ、1980年代の当時少年だった筆者は、両親の仕事の都合でイギリスに住んでいたため、やや特殊なゲーム人生をスタートさせている。住んでいた場所は、首都ロンドンからやや外れた片田舎のサリー州だったこともあり、当時は自宅周辺にゲームセンターはなく、最寄り駅前のパブとかの飲食店に設置された数台のゲーム筐体(きょうたい)をプレイすることしかできなかった。
当時のそうした飲食店によく設置されていたのは、Williams Electronics(※1)のシューティングゲーム「Defender(ディフェンダー)」、Atariのベクタースキャングラフィックスが特徴のシューティングゲーム「Asteroids(アステロイド)」などだった。
日本製タイトルもそれなりに遭遇する機会も多く、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)の「ギャラクシアン」「パックマン」、日本物産(※2)の「ムーンクレスタ」、セガ・エンタープライゼス(現セガ)の「ズーム909」などは、自分はもちろん、当時のイギリスの少年達の間でも大人気であった。
(※1)現在、ゲームタイトルの権利はWarner Bros. Entertainmentが保有している
(※2)法人としては現存せず、ゲームタイトルの権利は解散前にハムスターへと譲渡されている
筆者の原体験「ズーム909」
現在、筆者は3Dゲームグラフィックスの話題を取り扱うことが多い。今思えば、ズーム909との出会いが原体験だったかもしれない。
ZOOM 909はセガが後年世に送り出した「スペースハリアー」の前身のような、疑似3D表現のシューティングゲームだ。疑似ではあったが、3Dグラフィックス表現の未来や潜在能力を見せてくれた。ちなみにイギリス在住の少年時代、筆者はセガが日本の会社だとは知らなかった。
「ゼビウス」との出会いもロンドンで
さて、当時のロンドン地下鉄は、週末になると子供に限っては一定料金でどこまでも乗れる特典があったので、ロンドン中心にある「ピカデリーサーカス」の周辺、あるいはソーホー地区にある大型ゲームセンターによく出かけていた。
よくよく考えると、当時のそうした地域は治安があまり良くないところであり、さらに我々アジア人は普通に小馬鹿にされるなど、差別を受けることが多かった。しかし、筆者はそんなことを気にせずに、トサカ頭でピアスだらけのパンクな兄ちゃんたちに混じってゲームをしていた。若さからくる無鉄砲さというものはすごいものである。
名作であるゼビウスとの初対面も、ロンドンのゲーセンであった。美しい緑地背景とグラデーションの美しいメタリック戦闘機たちが織りなすコントラスト感は“美しい”の一言だったし、銃撃による空中戦と、照準器で合わせる地上爆撃の「2Dなのに3Dを感じるゲーム性」が、シューティングゲームの楽しさを拡張してくれた。
ただ、当時のロンドンのゲーセンは、全てのゲーム筐体がほぼ最高難易度に設定されていたこともあり、最初の「アンドアジェネシス」に遭遇するのも大変だった覚えがある。
ちなみに、1980年代のロンドンのゲームセンターに置かれていたゲームは、すべからく難易度が高く設定されていた。初見で即ゲームオーバーは当たり前で、子どもの小遣いでは遊べる回数も限られていた。ゆえに他人のプレイをずっと見ている時間が多かった。じっくり他人のプレイを見た後、なけなしの硬貨を投入してプレイするのである。
まあ、これは、全世界的な「ゲーセン小僧あるある」だと思うが(笑)。
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