「HHKB」や「ScanSnap」だけではない! 65周年を迎えるPFUの歩み 社名の由来って知ってる?:短期集中連載 その1(2/3 ページ)
石川県に本社を構えるPFUが、11月1日に創業65周年を迎える。その歩みと現在の強み、そしてこだわりのポイントを短期集中連載でまとめた。
紆余曲折を経て誕生したPFU
だが、コンピュータの黎明(れいめい)期においては、あまりにも無謀な計画であり、発売直後の売れ行きの鈍さからも計画の見直しが迫られていたのだ。
大規模な事業計画では見込み生産体制としていたことから、売れなければ在庫は増えるばかりである。内田洋行からは、受注生産体制へと移行する提言がなされたが、事業計画の達成を目指すウノケ電子工業は、工場の拡張や人員採用などを推進。結果として、1963年には資金難に陥り、内田洋行が株式の過半数を譲り受けて再出発を図ることになった。
ウノケ電子工業は、設立からわずか3年で大きな転換を迎えたのである。
ウノケ電子工業では、内田洋行の子会社となった後に事業計画を見直し、その後も小型コンピュータの開発/生産を継続した。
1969年9月にはユーザック電子工業に社名を変更し、伝票発行専用機のビリングマシン事業を成功させた。また、1970年代に入ってからはオフコン市場の拡大によって事業を拡大。ミニコンでもリーダー的な役割を担った。
1972年3月には、富士通や内田洋行、ユーザック電子工業の3社が、コンピュータの開発/製造/販売に関する包括提携を行い、ユーザック電子工業は、FACOMとUSACの専用工場となった。
その一方、現在のPFUにつながる、もう1つの動きが始まっていた。
1973年7月に、ミニコンピュータおよび関連装置、ソフトウェアの研究/開発/製造/販売を行うことを目的に、パナファコムが設立されたのである。
資本金は10億円であり、出資比率は富士通が35%/富士電機が15%/松下電器産業(現・パナソニックホールディングス)が20%/松下通信工業(現・パナソニック コネクト)が25%/松下電送機器(現・パナソニック システムソリューションズ ジャパン)が5%という構成だ。
富士通とパナソニックが肝入れで設立したコンピュータ企業であり、当時の松下電工の丹羽正治社長が会長を務め、富士通の高羅芳光社長が社長を兼務した。出資各社の社長全員が取締役に名前を連ねたことからも、力の入れようが分かる。
パナファコムは世界初の16bitマイコンを完成させ、1977年には日本初の16bitマイコンキット「LKIT-16」を商品化している。その後は、富士通の法人向けPCである「FACOM 9450シリーズ」の開発などでも重要な役割を果たした。
1980年にパナファコムが発売した16ビットPC「C-180A」。CPUにはMN1610A(4MHz)を採用し、5インチフロッピィディスクを備えていた。同じモデルが、富士通から「FACOM9450」として発売された
このように別々の経緯を経て設立したユーザック電子工業とパナファコムは、1987年4月に合併し、新たな会社としたPFUが誕生したのである。
PFUには、富士通グループが51%、松下電器グループ(現パナソニック)が22%、内田洋行が21%、その他企業が6%を出資。オフコンのトップメーカーの一角だったユーザック電子工業と、ミニコンおよびパソコンで成長を遂げてきたパナファコムの合併により、国内最大規模となるオフコン/ミニコン/パソコンのコンピュータ専業メーカーが誕生した。
さらに1983年には、イメージスキャナーの第1号機として「U4301A」を発売した。1996年には高性能コンパクトキーボード「Happy Hacking Keyboard(HHKB)」を投入し、1998年には売上高2000億円を突破する規模にまで成長した。
イメージスキャナー事業は、2001年7月10日に国内で販売を開始したパーソナルイメージスキャナー「fi-4110EOX」を皮切りに、後に同社の代表的ブランドとなる「ScanSnapシリーズ」をスタートしている。
2002年からはグローバル展開を開始し、2009年12月には世界累計販売台数が100万台を突破するヒット商品となった。2023年2月には、ScanSnapシリーズを始めとしたイメージスキャナー全体の累計出荷台数が1500万台を突破している。
2009年以降は、世界シェアNo.1を維持しており、日本でのシェアは74%、北米では40%、欧州では34%と、いずれの地域でもトップシェアを誇る。
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