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Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)の「Xe3 GPU」の全体像を解説 完全な新世代ではないものの用途に合わせた最適化がポイント(1/3 ページ)

Intelが2025年末に一部を出荷する予定の「Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)」(開発コード名:Panther Lake)は、「Xe3 GPU」なる新しいGPUコアを搭載する。この記事では、Xe3 GPUの概要をお伝えする。

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 Intelが2025年末に一部製品をリリースする予定の「Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)」(開発コード名:Panther Lake)について、米アリゾナ州フェニックスで開催された報道関係者向けイベント「Intel Tech Tour 2025」で技術的概要を解説した。ITmedia PC USERでは、これまでにPanther Lakeの全体概要とCPUコアについて解説してきた。

 今度は、Panther LakeのGPUコアについて2回に分けて“深掘り”していく。今回はGPUアーキテクチャの概要をチェックしよう。

トーマス・ピーターセン氏
GPUコアに関するセッションの説明を担当した、Intelのトーマス・ピーターセン氏(アーキテクチャ/グラフィックス/ソフトウェア担当フェロー)。NVIDIAでGPUのテクニカルマーケティングを担当していた経歴を持つ(写真提供:Intel)

Xe3アーキテクチャは「Battlemage」の拡張版……?

 Panther LakeのCPUコア(Computeタイル)は、Core Ultraプロセッサ(シリーズ2)から基本的アーキテクチャをあまり変えず、物理設計をIntel 18Aプロセスでやり直し、省電力性能に振ったチューニングを施した。ある意味で「低電力×高性能」のバランスを重視した設計といえる。

 一方、GPUコア(GPUタイル)はどうなのだろうか?

 まず、Panther LakeのGPUコアは新しい「Xe3アーキテクチャ」を採用しており、プロモーション上はこのGPUを「Xe3 GPU」と呼称している。全体概要やCPUコア解説でも触れた通り、Panther Lakeは大きく「8コアCPU+4コアGPU」「16コアCPU+4コアGPU」「16コアCPU+12コアGPU」と3種類のパッケージを用意しているが、4コアのGPUタイルは自社の3nm相当プロセス「Intel 3」で、12コアのGPUタイルはTSMCの3nm相当プロセス「N3E」で生産されている。

 コアの数によって製造プロセスが異なることが特徴の1つだ。

GPUコア
Panther LakeのGPUタイルは4コア構成と12コア構成があり、前者は自社プロセス(Intel 3)で、後者はTSMCプロセス(N3E)で製造される

 近年のIntelのGPUアーキテクチャは開発コード名がファンタジーRPGのクラス(職業)名にちなんだものになっている。最初の「Alchemist」(錬金術師)は2022年に登場し、「Intel Arc Aシリーズ」という独立GPUとしてリリースされた。Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)(開発コード名:Meteor Lake)やCore Ultraプロセッサ 200U/200H/200HX/200Sプロセッサ(開発コード名:Arrow Lake)に内蔵されたGPUもAlchemistの系譜の延長線上にある。

 続いて登場したのが、2024年リリースの「Battlemage」(魔闘士?)こと「Xe2アーキテクチャ」だ。こちらは「Intel Arc Bシリーズ」として独立GPUがリリースされた後、Lunar Lakeの内蔵GPUとしても採用された。ここまでが、現時点で製品化されたものになる。

X<sup>e</sup>2アーキテクチャ
Xe2アーキテクチャ(Battlemage)は、Intel Arc Bシリーズの独立GPUと、Lunar Lakeの内蔵GPUとして採用されている

 では、今回のXe3 GPUは、次世代の「Celestial」(天上導師)の系譜の上に置かれたものなのだろうか……?

 ピーターセン氏によると、Intelでは「単体(独立)GPUのブランド名と、CPU統合型GPU(内蔵GPU)の名称は意識して連動させていない」という。独立GPUと内蔵GPUに求められる機能や性能特性が異なるからだ。ここまでうまく連動していたのは「たまたま」だという。「ややこしくて申し訳ない」とも述べた。

 ピーターセン氏がアーキテクチャ名(プロモーション名)と開発コード名の“連動性”にわざわざ言及したのには理由がある。Xe3 GPUは、次世代のCelestialを採用していないからだ。 

 Intelが提示したスライドを見る限り、Xe3アーキテクチャはIntel Arc Bシリーズ(Battlemage)の系譜にあるように見える。しかし、説明されたのはあくまでも「Xe3≠Celestial」ということだけだ。「Celestialから一部要素を省いたもの(Celestial Light)」である可能性も、完全には否定できない。

Arc B
Intelのスライドを見る限り、Xe3 GPUはBattlemageの延長線上にあるように思えるが……

 競合であるAMDは、最新のAPU(GPU統合型CPU)である「Ryzen AI 300シリーズ」において、独立GPUにも使われる「RDNA 3アーキテクチャ」をベースとしつつ、部分的な拡張を行った「RDNA 3.5アーキテクチャ」のGPUコアを統合している。元のアーキテクチャに「0.5」をプラスしている。

 Panther LakeにおけるXe3アーキテクチャがRDNA 3.5アーキテクチャと似た発想に立ったと仮定すると、筆者としてはXe3アーキテクチャはCelestial Lightではないかと考える(根拠は後述する)。

X<sup>e</sup>3の説明
やはりIntelのスライドは「Xe3は『Xe2を拡張したもの』である」としている

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