Intel 18AプロセスのEコアオンリーCPU「Xeon 6+(Clear Water Forest)」はどんなCPU? 詳細を解説(4/4 ページ)
Intelが2026年前半にリリースする予定のサーバ/データセンター向けCPU「Xeon 6+プロセッサ」(開発コード名:Clearwater Forest)は、Eコアオンリーの製品としては一気に2世代相当の進化を遂げている。その詳細を見ていこう。
Clearwater Forestの性能はどのくらい?
Clearwater ForestのCPUコア「Darkmont」についての詳解は、Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)の解説時に行っている。気になる人は参照してほしい。
先の記事でも触れた通り、Darkmontは1世代前のEコアである「Skymont」から大きな仕様変更がない。しかし、EコアオンリーのXeonプロセッサ同士の比較となると、先代(Xeon 6700E)は2世代前のEコア「Crestmont」を使っているため、違いは大きい。
上の表からは、x86命令のデコードとマイクロ命令のディスパッチ(発行)数、整数/浮動小数点の各種演算器数の増加、L2キャッシュの帯域向上。順不同命令実行(アウトオブオーダー実行)で使う並べ替え用リオーダーバッファ(ROB)のエントリー数の激増………など、全方面における改良が分かるだろう。
そして下図は、Clearwater Forestの288コア仕様の試作チップと、Sierra Forestの144コア仕様の(Xeon 6780E)の性能比較を行ったグラフで、横軸は「負荷の度合い」、縦軸は「消費電力あたりの性能」(いわゆるワッパ)を表している。
Cleawater Forestは、Sierra Forestと比べて最大約1.9倍のパフォーマンス向上を果たし、両プロセッサで同じ処理を行った場合のワッパは最大で約23%改善したという。
Intelは、Cleawater Forestが「総所有コスト(TCO)の削減に貢献する」とアピールしている。
Eコアオンリーの「Xeon 6+」は何に使うといい?
IntelはEコアオンリーのXeon 6+プロセッサの用途として、Webサーバを始めとした「マイクロサービス系サーバ」「クラウドサービス向けサーバ」「古いサーバーの統合(コンソリデーション)」を挙げ、一般的なサーバ用途に適していることをアピールした。
加えてもう1つ、ピンポイントで示された用途がある。通信/ネットワークインフラでの利用だ。
5Gモバイル通信のコアネットワークは、携帯電話やIoT機器が通信を行う際の“中枢”の役割を果たしている。コアネットワークで使われるサーバは、「巨大な計算リソース」として活用されるのではなく、「無数の小さなタスクを同時並列で高速に処理する能力」の方が重要だ。ユーザー認証、位置情報の管理、通信セッションの確立/切断、データのルーティングなど、多岐に渡るタスクをこなす必要があるからだ。
5G時代になり、携帯電話(スマートフォン)だけでなく、IoTセンサーなどもモバイル通信を活用するようになり、結果的にネットワークにつながるデバイスが爆発的に増えた。数百万のセッションを低遅延でさばける能力が求められるようになったのだ。
今後、それこそ完全自動運転の自動車を実現するには、自動車単体のセンサーだけでなく、信号機や他の自動車、道路インフラと通信する「V2X(Vehicle-to-Everything)」も不可欠となる。
Intelとしては、EコアオンリーのXeon 6+プロセッサを、特に5Gコアのアプリケーション――多数の接続を同時にさばく必要がある5Gネットワークの中核処理用途など――で使うことを訴求したいとのことであった
上のスライドでは「通信事業者は1サーバあたり250基以上の仮想CPUを求めるようになってきた」ことに触れている。「この条件にズバリ適合できるのは、Eコア288基仕様のClearwater Foresetを置いて他にない」というのが、Intelの主張というわけだ。
対抗馬となるAMDは、2026年中にTSMC 2nmプロセスで製造されるとうわさされる「Zen6」「Zen 6c」ベースのサーバ向けCPU「EPYC Venice」(開発コード名)を控えている。5Gコアネットワーク分野でも、恐らくIntelとAMDの激しい闘いが繰り広げられるはずだ。
Clearwater Forest関連のデモの1つとして公開された「5Gコアネットワークの制御プレーン」のシミュレーション。グラフは同時接続ユーザーが増えた際のCPU負荷率で、グラフ線の黄色がSierra Forest、緑色がClearwater Forestを示している
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