Intel 18AプロセスのEコアオンリーCPU「Xeon 6+(Clear Water Forest)」はどんなCPU? 詳細を解説(3/4 ページ)
Intelが2026年前半にリリースする予定のサーバ/データセンター向けCPU「Xeon 6+プロセッサ」(開発コード名:Clearwater Forest)は、Eコアオンリーの製品としては一気に2世代相当の進化を遂げている。その詳細を見ていこう。
ベースタイルとI/Oタイルの構造は?
Clearwater Forestは、Intelの最新パッケージング技術「EMIB 2.5D」「Foveros Direct 3D」を採用しており、Computeタイルを「ベースタイル」を介して他のタイルと相互接続(Interconnect)している。相互接続の詳細については次項に譲って、ここでは相互接続に使うベースタイルと、各種入出力を担う「I/Oタイル」について解説していく。
「Intel 3」で作られたベースタイル
ベースタイルは、他のダイを結び付ける、いわば“中核”を担うタイルだ。3nm相当の「Intel 3」プロセスで作られており、タイル同士をつなぐための配線などを備えている。
先代のGranite Rapidsでは、メモリインタフェースをI/Oダイに搭載していたが、今回のClearwater Forestではベースタイル側に移設された。また、L3キャッシュもベースタイル上にある。
さらに、配線以外のアクティブロジックについてもベースタイルが面倒を見る形を取るようになったので、Clearwater Forestのベースタイルは「アクティブベースタイル」とも呼ばれる。下図はそのレイアウトイメージで、最大規模だと3基用意される。
ベースタイル同士の接合は、EMIB 2.5Dで行われる。ベースタイルには1基当たり192MBのL3キャッシュを搭載している。最大576MBのL3キャッシュは、「192MB×ベースタイル3基」という構成の場合の値となる。
ベースタイルのメモリコントローラーは4チャンネル構成となっている。最大構成の場合、メモリコントローラーは4チャンネル×3=12チャンネルを備えることになる。
ここでもう一度、ベースタイルの図解を見ると、L3キャッシュが4つのセグメント(区画)に分けた感じで描かれているのが見て取れる。これは1セグメント当たり48MBのL3キャッシュを備えていることを意味する。
Computeタイルが1基当たり最大24基のCPUコアを有していることは解説済みだが、このComputeタイルたちは、ベースタイルで縦に並んだL3キャッシュセグメントの“直上に”ぴったりと1つずつFoveros Direct 3Dで接合される。巨大なキャッシュダイをCPUダイにピンポイントで接合する技術は、AMDがRyzenシリーズに適用している「3D V-Cache」とよく似ている。
「Intel 7」で作られたI/Oタイル
PCI Expressバス、CXLバス、UPI(Ultra Path Interconnect)バスなど、各種入出力インターフェースを集約している「I/Oタイル」は、7nm相当の「Intel 7」プロセスで生産されている。
Clearwater ForestのI/Oタイルは、パッケージの両端に1基ずつ合計2基を搭載している。上の図で表されているのは、1基あたりの図解ということだ。図解の左側には「タイル1基当たりに内包される機能ブロックの数」が示されているので、パッケージ全体では2倍の数を備えていることには留意してほしい。
I/Oタイルにある8基の「アクセラレーター」は第4世代Xeonスケーラブルプロセッサ(開発コード名:Sapphire Rapids)から継続して搭載しているもので、具体的には以下のものを指す。
- Intel QAT (QuickAssist Technology)
- Intel DLB (Dynamic Load Balancer)
- Intel DSA (Data Streaming Accelerator)
- Intel IAA (In-Memory Analytics Accelerator)
それぞれのアクセラレーターの機能は、以前に第5世代製品(開発コード名:Emerald Rapids)の記事で解説しているので、気になる人は参照してほしい。
PCI Express 5.0バスは、1基当たり48レーン、CXL 2.0バスは1基当たり32レーン、UPI 2.0バスは1基当たり96レーンを備えている。
先進パッケージング技術「EMIB 2.5D」「Foveros Direct 3D」を採用
Clearwater Forestで使われているパッケージング技術は、Intelが持つ技術の“見本市”のような側面がある。EMIB 2.5DとFoveros Direct 3Dについて、それぞれ見ていこう。
EMIB 2.5D
「EMIB 2.5D」のEMIBは「Embedded Multi-die Integrated Bridge」の略となる。簡単に説明すると、平面方向に並べた複数のダイを、インターポーザー基板を介して接続するパッケージスタイルとなる。
現在、主に活用されているのは第2世代EMIBと呼ばれる、55μm〜45μmのバンプピッチだとされる。
Foveros Direct 3D
「Foveros Direct 3D」はIntelが誇る最先端パッケージ技術の1つで、切り出された単体ダイとウエハとの接合(D2W:Die to Wafer)、あるいはウエハ“全体”の相互直接接合(W2W:Wafer to Wafer)が可能だとされる。接合時は「はんだバンプ」を使わず、銅と銅を直接熱処理して原子レベルで接合する。
今回のClearwater Forestにおける接合ピッチは、第1世代の9μmで行ったという。ちなみに、第2世代では接合ピッチが3μmにまで短縮されているそうだ。
ここで1つ補足しておくと、EMIB 2.5DとFoverosを併用すると、EMIB 2.5Dはブランド的に「EMIB 3.5D」と呼ばれるようになるという“呼称名成長マジック”がある。
Intelのパッケージング技術には、今回ここで取り上げたもの以外にも、「FCBGA 2D/2D+」「Foveros 2.5D/3D」などがあるが、これらについてさらに知りたい人は過去の記事を参照してほしい。
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