Microsoftが描く「定額+従量課金」のAI新時代と、無制限の“エッジAI”へと向かうWindowsのゆくえ:Windowsフロントライン(2/2 ページ)
Microsoftの2026年度第3四半期決算から、同社のAI戦略とWindowsの将来像が明確に浮き彫りになった。無制限のインテリジェンスを提供する“エッジデバイス”として再定義されるWindowsのゆくえを解説する。
Microsoftが考える将来のWindowsとは?
ここまではクラウドサイドでのAIに関する話だが、クライアントPCとしてのWindowsについてもナデラ氏は何度か言及している。
軽量動作やパフォーマンス、品質改善はもちろんのこと、特に下記の発言で「We are doing the foundational work required to win back fans and strengthen engagement across Windows, Xbox, Bing, and Edge.」とあるように、“ファン”の呼び戻しと、Windows/Xbox/Bing/Edgeのプラットフォームを通した“エンゲージメントの強化”に触れている点に注目したい。
WindowsとXboxについては過去の記事でも触れたように何度か言及があったが、いかにBingとEdgeの現状の利用率が低いのかという課題が見えてくる。
Finally, when it comes to our consumer business, we are doing the foundational work required to win back fans and strengthen engagement across Windows, Xbox, Bing, and Edge. In the near term, we are focused on fundamentals, prioritizing quality and serving our core users better. You see this in the work underway across our consumer products. With Windows, we recently announced performance improvements for lower memory devices, streamlined the Windows Update experience, and brought back focus to core features and fundamentals that matter most to our customers.
もう1つ、同氏の発言で注目したいのが「Windowsの立ち位置」に関する部分だ。
Monthly active Windows devices surpassed 1.6 billion, and over time Windows value will extend to deliver unmetered intelligence at the edge.
月間16億アクティブデバイスを抱えるWindowsだが、その価値が「“エッジ”において“従量課金されない(無制限の)”インテリジェンスを提供するよう拡張される」とある。
好意的に解釈すれば、今後もクラウドの利用から切り離したとき、AIの恩恵は“エッジデバイス”としてのWindowsにおいても享受できるようになり、それは“従量課金されない(無制限の)”ものだということだ。
別の言い方をすれば、Windowsの標準機能から「Copilot」の名称は外されるものの、今後もAI的な拡張は行われ、あるいはMicrosoft自身またはサードパーティーからの(NPUを活用するような)AIソリューションがWindowsクライアント向けに提供され、それを従量課金なしで利用できるようになる……と考えられる。
Copilot+ PCのようなある程度の性能が必要になると思われるが、Windowsは今後もエッジAIのデバイスとして、またクラウドを通じてAIエージェントを活用するための入り口として重要な役割を担うことになるというMicrosoftからのメッセージだと筆者は考えている。
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