大阪・関西万博の人気パビリオンが東京で進化! 漱石アンドロイドも登場する「いのちの未来+」体験レポート&石黒教授インタビュー:9月25日まで開催中(1/4 ページ)
大阪・関西万博の人気パビリオン「いのちの未来」のバージョンアップ版が、東京都港区の「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」で開催中だ。その見どころをチェックしつつ、その主導者である大阪大学の石黒浩教授にも話を聞いてみよう。
2025年に大阪市で開催された「大阪・関西万博」のシグネチャーパビリオン「いのちの未来」は、数あるパビリオンの中でも特に人気が高かった。手掛けたのは、大阪大学の石黒浩教授だ。
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いのちの未来に新たなシナリオを追加し、パワーアップした「いのちの未来+」が、「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」(東京都港区)で9月25日まで開催されている。石黒氏への単独インタビューと併せて、その見どころを紹介したい。
MoN Takanawaは、この3月にオープンしたばかりの博物館/展示施設で、高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)の改札口から歩いて6分(空中歩道で直結)、泉岳寺駅(東京都港区)のA4出口から歩いて3分の所にある
本イベントの発表会では、左からMoN Takanawaの内田まほろ氏(アーティスティック・ディレクター)、チョコレイト(CHOCOLATE Inc.)の林和明取締役(チーフコンテンツオフィサー)、石黒教授をかたどったアンドロイド「ジェミノイドHI-6」と、石黒教授本人が登壇した
万博との違いは「自分のいのちの未来」に関する問いかけ
MoN Takanawaの内田まほろ氏(アーティスティック・ディレクター)の説明によると、いのちの未来+は、大阪・関西万博の展示をそのまま再現したものではなく、3つの体験を新たに加えたという。
1つ目は、新しい「物語」だ。大阪・関西万博のいのちの未来では、50年後の未来を舞台に、記憶をアンドロイドへ引き継ぐかどうかが問われた。それに対して、いのちの未来+では一歩進み、来場者自身に「自分とは何か?」「自分のいのちの未来について、どのような選択をするのか?」を問いかけるシナリオが加えられている。
2つ目は、現代によみがえったという設定の夏目漱石のアンドロイドとの対話で、こちらは彼がかつて通った二松学舎大学(当時は「二松学舎」)の協力によって実現した。
3つ目は、本展で感じたことを日常に持ち帰るきっかけとなる、オリジナルグッズの拡充だ。
内田氏は、本展が演劇、映画、あるいは一般的な「回遊型展示」とも異なる“体験”であるとした上で、「登場するのは、ほぼ全てロボット。本当に新しい形のエンターテインメントになっていると思う」と語った。
新しいシナリオに関する説明は、チョコレイト(CHOCOLATE Inc.)の栗林和明取締役(チーフコンテンツオフィサー)が担当した。
今回のいのちの未来+では、万博のいのちの未来向けに制作したシナリオのうち、最後の「エピローグ」に当たる場面を更新した。4人のアンドロイドによる会話劇を通して、観客が会話を一方的に聞くだけでなく、思わず議論に加わり、自分でも考えたくなるような構成を目指したという。
栗林氏は、未来の姿を断定的に示すのではなく、見る人に問いを投げかけることを重視したとした上で、こう語る。
「未来はこうなる」と提示するのではなく、「未来はどうなるのだろうか?」という問いを提示することが大切です。
加えて、今回はアンドロイドの細かな表情や動きも見どころの1つとなっている。万博当時からさらに技術に磨きをかけ、より繊細な表現を実現したとのことだ。
そして石黒氏は、今回の展示に込めた思いを語った。
大阪・関西万博のパビリオンでは「50年後の未来」を描いていたが、その後もAIやロボットは急速に進歩している。大規模言語モデル(LLM)が人間のように会話し、人と関わるロボットの開発も進む中、アンドロイドに記憶を引き継ぐ未来は、50年後ではなく、5年ほど先に訪れる可能性もある。
今回の展示で描かれるテーマを「遠い未来の話」としてではなく、「自分たちが責任を持って考えるべき身近な問題」として受け止めてほしい。もっと近い未来の問題として、自分たちが責任を持って考えなければならない。
最後に、内田氏がジェミノイドHI-6に「いのちの未来+」の感想を尋ねた。
ジェミノイドHI-6は、「技術そのものは毎年進歩し、表情や動きも改善していく一方、『いのちとは何か?』という問いには、いまだ誰も明確な答えを持っていない」と指摘する。「難しいのは、その根源的なテーマを、どのように人に理解してもらい、エンターテインメントとして成立させるか」とも語った。
驚くだけじゃなくて、自分の問題として考えてほしいですね。
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