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TV事業合弁化の裏で「音響」を残した理由とは? エンジニア出身・ソニー田中新社長の挑戦(5/6 ページ)

4月にソニーの社長 CEOに就任した田中健二氏は、エンジニアとしての長年の経験を背景に、ソニーを「感動を創る会社」と再定義する。本記事では、新体制の全貌を解き明かす。

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始動する「BRAVIA株式会社」

 一方で、ホームエンタテインメント事業については、ジョイントベンチャーとの連携を進めている。


ホームエンタテインメント事業

 5月末には、BRAVIA株式会社の登記が完了した。まずはソニーの100%子会社として設立し、同社にTCLが51%を出資。2027年4月に正式に始動する予定だ。

 ソニーのTV「BRAVIA」の他、業務用フラットパネルディスプレイ、業務用LEDディスプレイ(バーチャルプロダクション用を除く)、プロジェクター、ホームシアターシステムおよびコンポーネントオーディオなどのホームオーディオ製品を担当する。これらに関連する製品開発、設計、製造、販売、物流、顧客サービスなど、ホームエンタテインメント事業を承継し、BRAVIAブランドおよびSONYブランドを使用することになる。

 BRAVIAブランドのTVは、現在も継続的に新製品が市場投入されており、5月には、「True RGB」ブラビアを新たに発表。フラッグシップモデル「BRAVIA 9 II」と、プレミアムモデル「BRAVIA 7 II」の2機種を発売し、好調な売れ行きを見せている。

 田中社長は、パーソナルオーディオをBRAVIAに移管しなかった理由に触れ、「クリエイションとイメージング、クリエイションとオーディオは相性がいい。パーソナルオーディオをソニーが持つことは重要である。サウンドは強化していきたい」とした。

 パーソナルオーディオとホームオーディオの技術は近い。だが、これを切り分けた背景には、クリエイションという視点が見逃せない。

 「クリエイションをするときに、サウンド+αが残る領域や、未来に対して変化が起こせるものは、ソニーに残していく」とする。

 その上で、「アニメーターから聞いたのは、アニメの中では、大きな拳(こぶし)を描いたり、オーラが見えたりといった表現をすることで、臨場感を持たせることがあるが、サウンドは、一発でアニメの世界の雰囲気を変えることができる。人の意識は、ビジュアルよりもサウンドであるという話を聞いたことがある。サウンドは脳を刺激するものであり、クリエイションにおいては、大事な要素である」と述べた。

 クリエイションを重視するソニーにとって、サウンドとのつながりは欠かせないというわけだ。

クリエイション領域に経営資源を集中 特許戦略も「質」へ転換

 さらに、クリエイションに関するテクノロジーに投資を集中させていく考えも示す。

 「クリエイションにおいては、サウンド以外にも重要なテクノロジーはいくつもある。例を挙げると、無線技術はその1つである。スタジオで使用する機器は、ケーブルで接続されているが、将来は無線化されることになるだろう。ソニーは、この分野に継続的に投資をしていくつもりだ。クリエイション側に、経営資源を寄せていくのが基本姿勢となる。クリエイションの未来に必要なテクノロジーに対しては投資を継続していくことになる」とし、「時代と共に、クリエイションによって作られるものが変わっていく。そのために必要な技術的要素に対しては投資をしていく」とも述べた。

 特許戦略も見直しており、数を追う仕組みではなく、中身を重視するという。

 「特許には攻めるための特許と、守るための特許がある。攻める部分についても、集中領域を定めてやっていく。具体的には、Creative Entertainment Visionに関する領域は、積極的に特許を取得していく」とした。

 だが、クリエイションと密接に関連する高精細大型LEDディスプレイである「Crystal LED」は、BRAVIAに移管することになる。

 その点については、「ソニーは、ディスプレイというデバイスそのものよりも、ディスプレイ上で何をするかという点にフォーカスしている。Crystal LEDはバーチャルプロダクション用を除き、BRAVIAが技術開発を進めることになり、ソニーはBRAVIAから調達することになる。BRAVIAとは、関係密度を濃くしながら話をしているところである」と述べた。

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