ファイルメーカーPro ユーザーの現場を探る
第8回 静岡県立伊東高等学校定時制課程で使われる出欠管理システム(2/3)
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まず、伝票を授業担当者が紙に書いていたものを直接コンピュータに打ち込むことで転記のミスを無くせますし、それを一覧表に反映させることができました。「出席簿」はもちろんまだありますが、この出席簿を見てその日の出欠席をデータベースに入力すれば学期末には一覧表に反映されているとなったのです。おまけに生徒情報を見ればその生徒が何日に欠席したのか、早退したのかがすぐ分かるというおまけもありました。
入力された欠席・遅刻・早退情報は、個人の表示画面でも確認できる
それから成績一覧表とは別に「成績資料」というものも学期末に作成します。各学校により形式はいろいろですが、成績優良者、成績不良者、出欠席の芳しくない者などが一目で分かるようにまとめたものです。それもすべて自動で反映されますのでその画面にクラス担任が入力することはほんとに少しのことだけになりました。
「最近では似たものも高校で使われているとのことですが、機能の面では結構優秀ではないかと思っています」と勝又先生。
欠席者の入力をするわけですから、当然、生徒情報も入力されている必要があります。欠席情報と生徒情報はリレーションが張られており、生徒毎の出席日数や遅刻回数なども、自動的に集計されます。何度も転記したうえに、学期末の時点で初めてわかる、という旧来のやり方とは違い、いつでもその時点での最新の状況を確認することができます。そのため、このシステムでは細かい生徒別の指導が可能になっているのです。
たとえば、欠席回数が10回以上の子供は、要指導として表示され、成績優秀な生徒、成績不良の生徒、欠課日数が多い生徒などはそれぞれ、独立した欄に表示されるようになっています。こういった「資料」の作成は、旧来システムでは、担任の先生が独自で作るにしても、教科別すべての先生から情報を集めて、そこから数値化する必要があったわけですが、勝又先生の「Ito Teiji Educational Management System」ならば、最初からそれが可能なのです。
では、まずこのシステムをさらに細かく見ていきましょう。
クラスの教科毎に集計される「成績伝票」。この欠課時数は、毎日の入力から自動生成される
クラス全員の成績、出席状況、順位などが一覧できる
通知表の印刷までも、このシステムで実行できるのだ。科目をドラッグ&ドロップで入れ替えできるというのは、独自の工夫で実現した
この通知表印刷ですが、ひとつだけ問題点があります。プリンタでは用紙の位置合わせが難しいため、1学期で印刷した通知表を回収して、2学期分を印刷して、というのは現状では実現していません。このため、1学期毎に印刷して渡しているそうです。また、先生の中には、これを手書きで転記して生徒に渡している人もいるそうです。
他の学校用でも利用されるファイルメーカーPro
定時制課程では担任を受け持つ7人の先生が、このシステムを利用しています。生徒数は77人。導入に関しては抵抗はなかったのでしょうか?
「やります、と手を上げて、すんなり決まりました」と勝又先生。同僚の先生方の賛同、校長先生の許可も得て、正式プロジェクトになったそうです。
勝又先生によれば、このシステムは、伊東高校定時制課専用のもので、「現在は各学年に1クラスの合計4クラス専用のシステムなので、拡張するのは一工夫いる」そうです。他の学校からも、「使わせてくれ」という声が上がってくるかもしれませんね。
実際、勝又先生が開発したファイルメーカーProベースのシステムで、他の学校で使われているものがあるのです。
[松尾公也, ITmedia
]
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