IT仕事塾

ファイルメーカーで商用ウェブサイトを構築する
第2回 なぜファイルメーカーでなければならなかったのか?(2/3)


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インタフェースを作り込むことができる

 一般に、プロダクティビティソフトは、インタフェースには重きを置いていません。使う気にならないようなユーザーインタフェースを持ったものも少なくありません。デフォルトのデザインがつまらなかったり、デザインを作り込むのに非常に手間どったり、まず作る気をなくしてしまうようなソフトが多いのは事実です。そして、ファイルメーカーProは明らかに違います。

 レイアウトの種類は、1つのレコードだけを表示させる「フォーム形式」、選択された複数のレコードを表示させる「リスト形式」、そして、このリスト形式に表計算ソフトっぽい機能を追加した「表形式」。最後の「表形式」は、Microsoft Excelなどに慣れた人が使いやすいインタフェースで、フィールド名をクリックすると、その項目でソートしなおすことができます。そして、この3つとも、レイアウトの自由度はとても高いのです。だからこんなことができます。


command + Lまたは[表示]メニューから[レイアウトモード]を選択すると、このツールボックスが画面左側に現れます

 ZDNet Macの制作用画面では、ユーザーインタフェースをウェブの画面から拝借しました。そうすれば、ユーザーが直感的に操作できます。ZDNetのロゴやタブボタンなどは、ウェブブラウザからローカルに落とし、それをそのままレイアウト画面にドラッグ&ドロップしました。少々操作が重くなるきらいはありますが、レイアウトには凝り過ぎるぐらい、凝ってしまいます。もちろん、ここまでやらなくても十分です。ZDNetでは、それぞれのチャンネルのテイストにより、異なるレイアウトを使っています。


ZDNetブロードバンドでは、比較的シンプルなインタフェースを採用。これは、レイアウト画面ではなく、ブラウズ画面

 手間さえいとわなければ、習熟度に応じて、アクセスしたときに表示されるレイアウト画面を変えたり、といったこともできます。レイアウトをどのようにいじるかは、使い勝手を向上させるうえで重要なポイントだと思います。ここの部分は、とかく軽視しがちですが、ファイルメーカーを使っているデータベース制作会社は、いずれもすばらしいセンスの持ち主で、細かいテクニックをたくさんご存知のようです。

プラグインの存在

 ファイルメーカーには、非常に多くの機能があるのですが、不足している機能を補ってくれる仕組みも用意されています。それが、「プラグイン」です。ファイルメーカーのファイルにウェブブラウザからアクセスするための機能や、ファイルメーカーServerを制御するための機能も、標準で提供されているプラグインです。


組み込まれているプラグインは、[プレファレンス]-[アプリケーション]から見ることができる

 実は、ファイルメーカーでHTMLを作成するうえで、困ったことが1つありました。標準のものでは、こちらの仕様どおりに作成したHTMLファイルを保存することができなかったのです。

 これは、Troi File Plug-inを使うと簡単にできました。プラグインは、FileMakerのPlug-inインデックスから検索することができます。日本でも、ファクトリーが画像関連でプラグインを販売し、フォーサイトでは自動制御のためのプラグインをリリースしています。

 これらを使うと、ファイルメーカーProが持っている関数を拡張し、フィールドを組み合わせて生成したテキストを、任意の場所に保存することができます。たとえば、このHTMLファイルをローカルディスクの特定のフォルダに保存するなんてのも、可能です。ZDNet Macの場合には、それがAppleShareの共有ボリュームなんですが、そこに、ファイルメーカーの1つのグローバルフィールド (計算の結果を書き出すなど、一時的に使う特殊なフィールドのこと) を、やはり計算によって得られたフォルダ位置に保存できるのです。作業としては、そのあとで、保存したファイルをサーバにFTPするわけですが、その用途にも、プラグインで対応できます。いま探してみると、FTPitなるものがありました。

 しかし、その時点で私がこのソフトの存在を知らなかったため、別の方法をとりました。AppleScriptを使って、外部アプリケーションをコントロールするのです。当時使っていたFTPソフトは、Anarchie (いまではInterarchyと改名している) でした。

[松尾公也, ITmedia ]

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