IT仕事塾

ファイルメーカーで商用ウェブサイトを構築する
第5回 ZDNetファイルメーカーシステム「BeforeCMS」の導入とサポート(2/2)

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ユーザーからのフィードバックとチャットシステム

 ユーザーが外部アプリケーションをバージョンアップした場合や、システムを変えた場合にも、対応が必要な場合があります。対応を迅速にするには、携帯電話を教えるといった手もありますが、ぼくらにとって手軽なのは、メールやチャットで状況を教えてもらうことです。ZDNet MacとZDNet Productsは、編集者全員がログインしっぱなしになっているIRCのチャットルームがあり、そこに進ちょく状況を書き込んでいます。BeforeCMSを使っている場合に問題が生じた場合にも、ここに書き込まれれば、即時に対応します。遅れても大丈夫な場合には、遅れますが。

「この記事をアップしたら、レイアウトが崩れるんだけど」とか「インデックスが書き出されない」というのは、実際にそのURLを送ってもらった方がわかりやすいです。電話ではURLを伝えにくいですし、メールでは、リアクションが遅くなります。そこで、管理者はほとんどの時間、チャットでオンラインになっています。チャットには、社内でユーザーの多い、AIMがメインです。AIMとIRCを併用しているのは、一長一短があるからです。AIMはグループチャットの機能がありますが、それはいちいちオンラインになっている人を呼び出す必要があります。IRCならば、最初からログインする場所を決めておけばよいのです。また、IRCはログを残しておいて、あとから来た人も参照することができますが、AIMは、能動的に誰かがログを残しておかないと、状況がつかめません。

 とはいえ、AIMはユーザー数が多いことや、設定が比較的簡単なこと、Mac OS X 10.2ユーザーであれば、iChatがAIM互換でデフォルトで入ることなど、メリットも多いのです。また、ドコモはiモードの504iシリーズで、AOLi-Messengerが使えるようになっており、モバイルでもチャットを使えるようになりました。AOLi-Messengerは、AOLに入会する必要があるのですが、とても便利です。


 われわれはたまたまAIMを使っていますが、クロスプラットフォームで使いたい場合には、Yahoo! MessengerやMSN Messengerを使うという選択肢もあります。Yahoo! MessengerにはMac OS X専用版はありませんが、Netscape/MozillaのMac OS X版ならJava版でちゃんと使えます。また、AOLi-Messengerと同じく、iアプリが出ているので、便利です。MSN Messengerはiアプリ版こそありませんが、Windowsではユーザーが多く、Mac OS X版もでているので、十分実用になると思います。

 BeforeCMSはグループウェアで、単体でも十分な機能を持っていると自負していますが、チャットシステムにユーザーが参加していることで、潤滑なコミュニケーションが可能になっているのだと思います。部門内のシステムを構築しようという方は、ぜひチャットシステムの併用を考えてみて下さい。

使い勝手を向上させる

 ヘルプシステムは、つけておいたほうが管理者の精神衛生上よいと思います。レイアウトを使いやすいように考えるのはもちろん、ヘルプの画面を用意しておき、本文に埋め込むことができるタグや、作業の流れなどは、きちんとドキュメントにしておいたほうがよいです。そして、そのドキュメントは、ファイルメーカーProのどこかのレイアウトに埋め込んでおいて、呼び出せるようにしておきましょう。

 それとは別に、操作を誤った時には適切なアラートが表示されるようにしています。たとえば、ファイル名をきちんと設定していない場合には「またあのいやなxxxxが表示されています」とか(むかしのEudoraのダイアログは独自でしたね)。

 ユーザーのスキルが低い場合には、いじることができるボタンを極力少なくしたレイアウトに飛ばすこともよいかもしれません。BeforeCMSでは、最初にログイン画面が表示され、ファイルメーカーProに設定したユーザー名により、適切なレイアウトに飛ばすことができます。


ボタンの色づけと重ね合わせをつかって、機能的なまとまりを表現するとユーザーはわかりやすい

 いずれにしても、ファイルメーカーProのユーザーインタフェースの設計は、いちばん面白いところで、HTMLベースのものよりもはるかに自由度が高いです。これをフルに活用して、すばらしく使いやすいシステムを設計してみてください。そのためには、ユーザーからのフィードバックをよく考えて、可能な方法で置き換えていくことです。

 難しいようですが、自分がユーザーでもあるのであれば、いろいろとアイデアも出てくると思います。それが実現できたときの楽しみは実に大きいのです。

[松尾公也, ITmedia ]

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