ファイルメーカーPro ユーザーの現場を探る
第6回 神戸女学院大学で、i-modeを使った蔵書管理・面談管理システムを構築(6/6)
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PalmとファイルメーカーProを同期
ファイルメーカーProのデータをPalmで使うことは、ファイルメーカー Mobile for Palm OS and Pocket PCの登場以前から行われていました。Palm独自のデータベースソフトであるJFileとファイルメーカーProを同期させるコンジット(Palmの同期に用いられるプラグインソフト)で、FMSyncというものがあります。現在はオープンソースプロジェクトとなっており、SourceForge上に置かれています。JFile自体は24.95ドルのシェアウェアで、Palm単体で機能するデータベースアプリケーションです。
川村先生によれば、ファイルメーカー Mobile for Palm OS and Pocket PCを使うメリットは、検索が高速であることと、常に最新版のファイルメーカーProに対応していることだそうです。Palm上で新規にデータベースを作るということをしなければ、ファイルメーカー Mobile for Palm OS and Pocket PCが便利といえるでしょう。ネットワークにアクセスできない状態でもデータベースの情報を参照するための、非常に手軽なシステムです。
CLIEと同期されているデータベースは、「川村文庫」です。あたかも自分の蔵書を持ち歩いているようなものなので、書店で書籍を購入する時のダブリがなくなります。以前はiモードからのアクセスだけだったのですが、これを使うことで、電波が届かないところでもチェックができるようになりました。
ファイルメーカーProを、学生のクラス分けに使う
これまで紹介したような、継続的に使うものでなくても、ファイルメーカーProはその実力を発揮してくれます。川村先生が教えている総合文化学科では、学生が授業と先生を選んで、一定の基準に従ってクラス分けをしていく方式がとられています。これは、できるだけ学生の希望に沿う形でクラスを決めていくためのものですが、決定する側からみると、こんなたいへんなものはありません。たとえば第一希望の先生に多数の学生が集まった場合には、成績のよい学生に優先権が与えられるような仕組みが組み込まれているのですが、それを手作業で行うのは大変なことです。
「この方式は、ぼくが主張していたことでもあるので」、川村先生がファイルメーカーProでシステムを組みました。半日でシステムのプロトタイプができ、200人を16クラスに分ける作業が、入力を含めて約1時間でできたそうです。そのなかで、実際にファイルメーカーProが処理していた時間は数分とか。ほかの学科でも、このシステムを利用したいという希望が来ているそうで、すでに英文科の振り分けでも使われています。
ファイルメーカーとの出会い
最後に、川村先生とファイルメーカーProとの出会いについてお聞きしました。川村先生のデータベース歴は、ワードプロセッサ専用機であるOASYSのカード型データベースに始まりました。親指シフトキーボードが気に入っていたので、Macに移ってからも、R Boardという、親指シフト専用キーボードを愛用しているそうです。

USB-ADBコンバータでつなげている親指シフト専用キーボード
ファイルメーカーは、まだリレーション機能がない、カード型データベースだったころに出会い、そのころから文献データベースに活用していたそうです。「リレーションがサポートされてから、使い勝手が格段によくなりました」と川村先生。Macを使っているのは、AppleScriptが使えることと、多言語対応が早くからサポートされていたことが、理由として大きいそうです。
さて、これで6回続いた「ファイルメーカーProユーザーの現場を探る」は第1シーズンを終えます。次は新たな切り口でファイルメーカーProの利用方法を探究していく予定です。
[松尾公也, ITmedia]
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