ドコモ、LTE用の省電力LSIを試作――40mW以下で下り100Mbpsを実現
NTTドコモは、40mW以下という消費電力でMIMO信号分離と誤り訂正復号処理を行うLTE(スーパー3G)用の低消費電力LSIを開発した。2つのアンテナから送信されたOFDM信号を処理し、下り100Mbpsの高速通信を実現する。
NTTドコモは12月17日、LTE(スーパー3G)用の低消費電力LSIの試作に成功したと発表した。40mW以下という消費電力でMIMO信号分離と誤り訂正復号処理を行い、現行のHSDPA方式(下り最大7.2Mbps)の10倍以上に相当する下り100Mbpsの高速通信を可能とする。
ドコモは2007年9月、4つのアンテナから送信された信号の復調処理とMIMO信号分離処理を行うLSIを試作(2007年9月の記事参照)。端末への搭載が可能な100mW(0.1W)以下という低消費電力で、下り200Mbpsの高速通信を実現した。
今回試作されたLSIは、LTEの要求条件に相当する下り100Mbpsの伝送速度において、更なる省電力化を目指したもの。2つのアンテナから送信された周波数帯域幅20MHzのOFDM信号の復調処理、受信環境が悪くても高品質な通信を実現できるMIMO信号分離処理、誤り訂正復号処理機能が実装されている。
LTEのMIMO信号の分離処理とターボ符号による誤り訂正は高い処理能力が求められ、消費電力が大きくなる。ドコモは試作LSIを65ナノメートルプロセスを用いて回路を最適化。40mW以下という消費電力を可能とした。
ドコモは今回のLSI試作で培った技術をもとに、引き続きLTEおよびIMT-Advanced(4G)の研究開発を推進、国際標準化にも積極的に協力するとしている。
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