2012年、スマートフォンの契約数は1000万規模に――MCPCが予測
iPhone 3GやBlackBerry、Windows Mobileの新モデル登場などで活気づく日本のスマートフォン市場。MCPCは、2012年にはスマートフォンの出荷台数が330万、累計契約数が1000万規模に達すると予測する。
iPhone 3Gの登場や、Windows Mobile端末のラインアップ拡大などで活気づいた2008年のスマートフォン市場。さらなる伸びが期待されるこの市場の現状と今後について、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)が調査を行い、その結果を発表した。
調査は2008年10月17日から22日まで、スマートフォンの個人利用と法人利用についてWebアンケート形式で実施。個人利用は15歳から69歳までのスマートフォン利用者と利用する可能性がある人、法人利用は企業の情報化担当者を対象に調査を行い、回収数は個人利用が1000件、法人利用が1000件となっている。
また、この調査では「仕様が公開された汎用的なOS(Windows Mobile、Symbian OS、OS X、BlackBerry OS)を搭載し、利用者が自由にアプリケーションを追加して機能の拡張やカスタマイズを行える携帯電話やPHS」をスマートフォンと定義づけている。
2012年、スマートフォンの累計契約数は1000万規模に
スマートフォン端末の市場は、パケット定額プランが2段階制に移行してコスト面のハードルが下がったことや、iPhoneなどの高機能なスマートフォンの投入で拡大傾向にある。2008年度の出荷台数は、2007年度の86万台から55%増の133万となる見通しで、そのうちわけは個人向けが102万台、法人向けが31万台と推定されるという。
また、WiMAXやフェムトセル、次世代PHSが2010年前後に登場するなど、無線通信インフラの高速化が進み、スマートフォン自体についても高機能化が進むとともに、アプリケーションの数が急増するなど、スマートフォン市場にとって追い風となる要因が多いことから、MCPCは2012年には出荷台数が329万台まで拡大すると予測。累計契約数についても、2008年度の248万契約から959万契約規模に達すると見込んでいる。
個人はメール、法人は営業・渉外業務でスマートフォンを利用
スマートフォンの用途を個人、法人別で見ると、個人はWebメールを含むメールの利用が7割で最多となり、以降、Web閲覧(60.5%)、ネットショッピング(40%)、仕事関係のメール・スケジュール・個人情報管理(31.9%)と続いた。個人利用の動向を職業別で見ると、会社役員や自営業・家族従業者は仕事用途でメールを多用しており、主婦や学生はネットショッピングやブログ、音楽の試聴など多面的に活用する傾向にある。性別、年代別では、男性の20〜50歳代が仕事関係のメールで利用する比率が高く、女性の20〜30代はネットショッピング、20代は動画・音楽の利用比率が高いことが分かった。
法人については、顧客管理を含む営業・渉外業務での利用が66.8%と最も多く、次いで20.8%の社内コミュニケーション、18.9%の幹部社員連絡と続く。法人利用を従業員の規模別で見ると、営業・渉外業務が企業の規模を問わず利用が圧倒的に多く、店舗管理や在庫管理、配送・運送なども、規模に関わらず利用されている。企業の規模が大きくなるほど活用が増えるのは、社内コミュニケーションや幹部社員の連絡用途だった。
個人・法人の利用をOS別に見ると、いずれもWindows Mobileが7割を占めてトップとなり、法人利用は以下、Symbian(20%)、OS X(8%)、BlackBerry(1%)と続いた。個人はSymbian(14%)、OS X(12%)、BlackBerry(3%)で、OS X(iPhone)が投入から1年もたたないうちにシェア1割に達した点が注目されるという。
認知向上に向けたアプローチが重要
今回の調査によると、スマートフォンについて「聞いたことがある」「知らない」を合わせた回答が7割に達し、法人のスマートフォン導入率も7%にとどまるなど、認知度も導入率も低い水準であることが分かる。
MCPCでは認知度を高めるために、個人では年齢や性別、職業、法人では規模や業種などの属性ごとに工夫したアプローチが必要であるとしている。
法人利用については、現場の“気づき”から始まったスマートフォンの活用が、幅広いシーンに広がっていることを例に挙げ、さまざまな活用事例の紹介が、スマートフォンの企業導入を後押しする可能性があると見ている。
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