TD-LTEとWiMAXは「マーケットが異なる」――Huaweiヴェヴェガート氏
ファーウェイ・ジャパンがLTEの世界的な動向や同社のLTE製品に関する説明会を開催。「2012年までに上位キャリア50社のうち60%以上がLTEを展開する」など、Huaweiのレネイ・ヴェヴェガート氏がLTEの展望を語った。
ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本)は9月6日、LTEの世界的な動向や同社のLTE製品を紹介する記者説明会を開催した。説明は、Huawei Technologiesで主要顧客向け製品の調査や提案に携わるレネイ・ヴェヴェガート氏(グローバル・アカウント・マーケティング部チーフ・アーキテクト)が行った。
日本ではNTTドコモが2010年12月にLTEの商用サービスを開始することを発表しているが、ヴェヴェガート氏によれば世界的に「2012年までに上位キャリア50社のうち60%以上がLTEを展開する予定」になっており、2014年までに1億2000万〜1億4000万人がLTEを利用する見込みだという。また、ヴェヴェガート氏はHuaweiが上海万博でテストネットワークを展開しているTD-LTEについて、2010年第2四半期に商用端末を出荷できる状況にあるとし、「FDDのLTEに追いつきつつある」とコメントした。
また、TD-LTEにはロシアのYotaやアメリカのClearwireなどWiMAX採用キャリアが興味を示しており、将来的にWiMAXがTD-LTEに統合されるのではといった憶測もあるが、ヴェヴェガート氏はこれに対し、「TD-LTEとWiMAXは技術的に似ているが、マーケットは異なる」と指摘。TD-LTEは大手キャリアが中心となって展開しているのに対し、WiMAXはどちらかといえば新興国や固定網が発達していない地域のキャリアに採用されており、少なくとも数年は共存すると予想した。
また、ヴェヴェガート氏はLTE対応チップセットの今後の展望も紹介した。チップセットはLTE専用のものから出荷がはじまっており、2Gや3Gなどマルチモードに対応したチップセットも2010年〜2011年には出るとみる。これらはデータ端末向けのもので、音声端末の対応は2012年になる見込み。音声サービスは、データ通信と同じくLTEで提供する方法だけでなく、例えばデータ通信のみをLTEとし、音声はCDMAでまかなうといった考えがあったりと、キャリアによって異なる方針が検討されているため、対応が後手になるという。
Huaweiは、ノルウェーのTeliaSoneraやスウェーデンのNet4Mobility、ドイツのvodafoneなど世界で14社とLTEの商用契約を結び、60社以上が同社のLTEのトライアルを行っているという。複数あるLTEベンダーの中でHuaweiが持つ強みとしてヴェヴェガート氏が挙げるのが「製品化の速さ」。同氏はその例として、TeliaSonera向けネットワークでErricsonなど他社のネットワークに先駆けて20MHz幅に対応したことを挙げる。「もちろん、他社がすぐに追従してきたことも承知しているが、Huaweiがそうした製品をいち早く展開できることを強調しておきたい」。
また、製品のポートフォリオの広さも、同社の強みであるという。同社のLTE製品は2G/3G/LTEを同時に管理でき、FDDとTDDの両方をサポートするなど、1つのプラットフォームで幅広い通信方式に対応できることを同氏は説明する。また、アンテナ近くにRRUを設置することで給電ロスを少なくしたり、自然空冷を取り入れて消費電力を節約するといった省エネルギー対策についてもアピールした。
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