KDDIが楽天とEdyで連携――電子マネー事業強化の背景とは
KDDIが電子マネーのEdyを中心とした業務提携を楽天と発表。ウェブマネーの子会社化に向けた動きに続き、電子マネー事業の戦略を相次いで打ち出したKDDIの狙いとは。
「世界で最も進んだO2Oのサービスが展開できる」「スマートフォンで電子マネーが加速するのは間違いない」――。
KDDIと楽天は6月29日、電子マネー事業で業務提携すると発表した。取り組みの第1弾として、楽天の電子マネー「Edy(エディー)」をauの携帯電話から簡単にチャージできるサービスを8月4日に開始。Edyを端末だけでチャージできる利便性を、他キャリアにはないauならではの優位点として訴求していく。
今秋には楽天市場でキャリア決済による買い物も可能に。将来的には端末の位置情報や商品の購買情報などを活用した、マーケティング事業の共同展開も視野に入れる。
スマホ時代に合う“共通プラットフォーム”の構築目指すKDDI
ウェブマネーの完全子会社化に向けた株式公開買い付けに続き、電子マネー事業を着々と強化しているKDDI。その背景には、スマートフォンの普及によりインターネットとモバイルの垣根が低くなっていることがある。両者の融合が今後も進むことをふまえ、PC、スマートフォン、タブレットと、さまざまなデバイスで共通利用できるプラットフォームを積極的に提供し、ユーザーの満足度を高めていくのが同社の方針だ。特に、決済プラットフォームの共通化はニーズがあるとみて、決済手段の拡充に動いている。
オンライン上での利用が中心のWebMoneyに対し、Edyは「リアル世界」での電子マネーの利用をカバー。主要コンビニをはじめとする全国27万1000カ所で利用できるEdyとの連携により、「リアルの世界も含めて、我々の世界観を提供したい」とKDDIの田中孝司社長は意気込む。
一方、楽天にとってはKDDIが持つ3300万契約のユーザー基盤にEdyをリーチさせるチャンス。キャリアとの提携により、加盟店増加に弾みがつく期待もある。同社の三木谷浩史社長は、KDDIとの連携で「世界で最も進んだO2O(オンライン・ツー・オフライン)のサービス展開できるのでは」と自信を見せた。
キャリア決済の手軽さを電子マネーに
両社の連携サービスは「Edy│au」のコンセプト名を冠して展開する。8月4日から開始する携帯電話によるEdyチャージ機能は、「auかんたん決済」の仕組みを使い「携帯電話の暗証番号を入れるだけで利用できる」(KDDIの高橋誠専務)という手軽さが売りだ。利用登録もau one-IDで簡単にできる。携帯でのチャージは1カ月1万円を上限とし、料金は携帯電話の利用料とともに請求される。
携帯電話だけでチャージができるのは現状だとauのみで、KDDIにとっては差別化につながる。また、店頭での現金払いやクレジットカードなどを介した従来のチャージ方法を面倒と感じていたユーザーや、クレジットカードを持っていない若年層が利用するきっかけにもなりそうだ。
フィーチャーフォン向けにも機能を提供するが、KDDIは特にスマートフォンの機能として訴えていく。「スマートフォンならではの特色を出したい」(高橋氏)との思いから、スマートフォン向けにはオートチャージ機能(残金が少なくなったときに自動でチャージする機能)を9月27日に追加し、より便利にする。
高橋氏は、2015年までにスマートフォンは契約比率が50%を超え、電子マネーは決済額が4兆5000億円規模になる――といった調査結果を例に出し、「急速に伸びる市場」を組み合わせた事業展開に期待を募らせる。「スマートフォンで電子マネーが加速するのは間違いない」(高橋氏)
両社の連携はEdyだけにとどまらず、今秋には楽天市場でauかんたん決済を利用できるようにし、双方のサービス利用者拡大を目指す。また、Edy連携では、決済サービスにとどまらないビジネス展開も構想。利用者のプロファイルや購買情報、位置情報などに合わせて、クーポン配信や商品のレコメンドを行うといった、リアル店舗型のマーケティングビジネスの展開も検討しているという。
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