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“軽くて速い”KDDI研の暗号アルゴリズム、ISO国際標準規格に――「KCipher-2」
高い安全性を確保しつつ、処理能力が限られた小型端末でも高速な暗号化と復元が可能――。KDDI研究所が開発した暗号アルゴリズム「KCipher-2」がISO国際標準規格に採用された。
KDDIとKDDI研究所は2月13日、“軽くて速い”という特徴を備えたKDDI研究所のストリーム暗号アルゴリズム「KCipher-2」(ケーサイファーツー)が、ISO国際標準規格に採用されたと発表した。
KCipher-2は、処理能力が限られた小型モバイル機器上でも、本体のCPUに負担をかけることなく大容量データの暗号化や復元を行えるよう設計された共通鍵暗号方式のアルゴリズム。KDDI研と九州大学が共同で設計し、KDDI研が商用化した。
CPUへの負荷については、携帯電話上でワンセグ相当の動画の復号をCPU使用率0.5%以下で達成した実績があり、リアルタイムでの処理にも対応する。速度面では同じ共通鍵暗号方式のAESと比較して、最大10倍の速さで暗号化と復元を行えるという。
暗号アルゴリズムの安全性は判断が難しく、第三者機関の評価が重要になる。今回、ISO国際標準規格に採用されたことで、KCipher-2は“外部機関のお墨付き”を得た格好だ。KDDIとKDDI研究所では、電子政府推奨暗号やインターネット標準暗号への採用を目指すという。
また、今回の採用を受け、マルチメディアコンテンツの配信やデータセンターなど、大容量のデータをセキュアに扱うことが求められる分野や、CPUリソースが限られるモバイル機器・M2M分野など、より幅広い市場での採用を目指して技術をアピールする方針だ。
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