ソフトバンクのSprint買収に待った――米衛星放送Dish、FCCに異議申し立てか
モバイル事業に参入予定の米衛星放送Dish Networkが、FCCに異議申し立て期間の延長を申請。国外企業が国内キャリアより多くの無線周波数帯を手にすることについて、懸念を示している。
衛星放送のDish Networkが米連邦通信委員会(FCC)に対し、ソフトバンクとSprint Nextelの買収について、取引への異議申し立て期間の延長を申し出た。Reutersが12月21日付けで報じている。
DishはCharlie Ergen氏が設立した衛星テレビ放送企業で、12月11日にFCCよりモバイル通信サービス事業計画の承認を受けたばかり。これを元に、将来モバイル通信事業に参入が予想されている。
Reutersの報道によると、Dishは12月20日付けでFCCに対し、Sprintとソフトバンクの取引に異議を提出する期間を延長するよう申し出たという。現状の期限は2013年1月4日で、Dishは3週間の延長を求めている模様。Dishは(1)国外の企業が、国内のキャリアよりも多くの無線周波数帯を手中におさめることが公衆の利益につながるかどうか慎重に検討する必要がある(2)SprintとClearwireの2社を合わせた周波数帯を1社が所有することになることが競争に与える影響を再度評価する必要がある といった点を挙げているという。
米国3位のキャリアであるSprintは12月17日、約50%の株式を所有していたClearwireの残りの株式を22億ドルで買い取ることで合意したことを発表している。SprintとDishは提携のうわさがあったが、FCCが下すDishの周波数利用(干渉を防ぐための制限)については意見の相違があったようだ。
ソフトバンクは10月15日に、約201億ドルでSprintを買収すると発表しており、2013年前半に取引完了させる計画。この取引に対しては、SprintのライバルであるAT&Tも慎重な対応を求めるとする意見を表明している。
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