ウィルコムの再建計画が完了 業績好調で債務を一括返済
ウィルコムは、ソフトバンクから資金を調達して債務の一括返済を行い、当初6年かかるとしていた再建計画を前倒しで完了させた。同時にソフトバンクの連結子会社となった。
ソフトバンクとウィルコムは7月1日、2010年11月から進めてきたウィルコムの再建計画が完了し、同日付でソフトバンクの連結子会社となったことを発表した。
ウィルコムは2009年9月、PHS利用者の減少と高速通信規格XGP(次世代PHS)の設備投資がかさんで経営危機に陥ったことから、自主再建を目指して事業再生ADRを申請。しかしその後も解約が増加して経営状態が悪化する一方、事業再生ADRの整理手続きが進まず、翌2010年2月に会社更生法の適用を申請して事実上経営破綻した。負債総額は2060億円だった。
2010年8月に同社のスポンサーに就任したソフトバンクは、同社取締役兼ソフトバンクモバイル代表取締役副社長(当時)の宮内謙氏を管財人として送り込むと同時に、ウィルコムからXGP事業を分離して総額約410億円の債務を6年かけて均等弁済する更生計画を作成して弁済を開始した。また同年12月にはウィルコムの全発行済株式を取得している。
ウィルコムの累計契約数は2010年12月末時点で378万件まで低下していたが、定額通話サービス「だれとでも定額」の導入や端末ラインアップの拡充、複数回線を新規契約した場合の基本料金割引、取り扱い店舗の拡大などが実り、2011年1月に20カ月ぶりとなる契約者数の純増に転じている。累計契約数はその後も順調に推移して、2013年5月末時点では545万件。これに伴い業績も回復して2011年度第2四半期には四半期ベースで営業黒字に転じ、その後も黒字を維持しているという。
業績の改善が続いていることからウィルコムは6月7日、ソフトバンクから資金調達して残高約271億円となった債務を一括繰上弁済。6月17日に東京地方裁判所へ会社更生手続終結の申し立てを行っていた。
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