電力会社5社の火力電源入札、上限価格を非公表で7月から受付開始:電力供給サービス
東京電力をはじめ電力会社5社が火力電源の入札の受付を7月中に相次いで開始する予定だ。5年後の2019年度から調達する電力を対象にしたもので、東北・中部・九州の3社は自社でも応札する意向を明らかにしている。各社は2015年3月までに落札者を決定する。
燃料費の上昇によって火力発電のコストが高まっていることから、資源エネルギー庁は電力会社が新規に確保する火力電源の入札制度を2012年9月に導入した。これを受けて東京電力が2013年度に入札を実施したのに続き、2014年度は東北・中部・関西・九州を加えた合計5つの電力会社が火力電源の入札を募集する。各社は7月中に受付を開始して、年度末の2015年3月までに落札者を決める。
資源エネルギー庁がまとめた5社の募集状況によると、東北・中部・九州の3社は自社でも応札する方針だ(図1)。東北電力は2020年度に運転を開始する「能代火力発電所3号機」と2023年度の「上越火力発電所1号系列」を入札の対象に加える。九州電力も2023年度に運転開始の「松浦発電所2号機」と2020年度の「豊玉発電所6号機」で応札する。中部電力だけは対象になる自社の発電所を公表していない。
さらに東京電力の入札には、東京電力と中部電力の合弁会社が2020年度に茨城県で運転を開始する石炭火力発電所(65万kW)も応札することになる。実質的に自社で応札しないのは関西電力1社だけになる見通しだ。
入札の募集にあたって、各社は落札の上限価格を非公表にした。東京電力が2013年度に実施した入札では上限価格を1kWhあたり9.53円に設定して公表したところ、募集した260万kWに対して68万kW分しか落札できずに不調に終わっている。今回はガスを燃料に使う方式でも応札できる11円前後を上限価格に設定するとみられるが、競争を促すためにも非公表の形で統一した模様だ。
5社が募集する電源の規模を合計すると1070万kWを超える。大規模な火力発電設備で15〜20基分にも相当するため、全量を入札で調達できない可能性がある。その場合には2015年度にも追加の入札を実施することになる。
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