チャイナエアラインで行く! 羽田・台北、日帰りの旅秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(5/5 ページ)

» 2010年11月05日 21時47分 公開
[秋本俊二,Business Media 誠]
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16:40 行天宮

 時計を見る。午後4時25分。ぼちぼち空港へ──と思ったが、もう1つくらいどこかへ寄れそうだ。私は迷うことなく「行天宮」へ向かった。行きの羽田から台北への機内で「日帰り旅行をする場合、絶対に外せないおすすめはどこ?」と客室乗務員に聞いたら、彼女は「あくまで私の意見ですが」と前置きしたうえでこう答えてくれた。

 「行天宮に行かれてみてはいかがですか。三国志で有名な関羽がまつられていて、商人には商売の神様として、軍人には戦の神様として古くから崇められています。いつ行ってもたくさんの観光客で賑わっていますよ」

 この連載の読者がビジネスマン中心であることを伝えると、彼女は「でしたら、なおさらおすすめです。ビジネスがうまくいくように、あるいは会社で出世しますようにとお願いに来る会社員の方も大勢いますから」と言葉を添えてくれた。時間があれば、ここの地下道にある“占い横丁”を覗いてみるのもおもしろい。台北で最も人気のある占いストリートだ。

飛行機と空と旅 国内外からたくさんの人たちが訪れる行天宮

17:00 再び松山空港へ

 ぎりぎりまで時間を使ってしまい、間に合うかどうかちょっと心配になったが、松山空港へは行天宮からタクシーで5分とかからなかった。市内の中心部に空港があることがどれほど便利かを改めて思い知らされる。

 空港の入口で、記念撮影をしているグループを見かけた。行きの機内でもいっしょになった日本人旅行者だ。胸につけたリボンを見ると、計12名全員の名字が「羽田さん」と「松山さん」。羽田/台北(松山)線の就航を記念して、チャイナエアラインが日帰り旅行に招待したそうだ。ユニークな試みに、思わず笑みがこぼれた。

飛行機と空と旅 新規就航を記念して招待された羽田さんと松山さんのグループ

18:15 帰国の途に

 帰国便となるチャイナエアラインの222便は、18時15分に台北・松山空港を離陸した。アッという間だったが、充実した旅だったと思う。今回は台北でも人気スポットを中心に“王道”をゆく旅だったが、現地で使える時間が7時間あるので、ほかにもいろいろなプランが可能なはずだ。旅の途中で、出会った地元の人たちに「日帰りの旅では、どこに行くといい?」と聞いてみる。意見はもちろん、人によってそれぞれだ。そんな中で、複数の回答として出てきた地名が「淡水」と「九フン※」だった。

※フンは、ニンベンに分

 若いカップルで来るなら、“台湾のベニス”と呼ばれる淡水を訪ねてみてはどう? そうアドバイスしてくれた人は、「できれば1泊して、台北一の絶景といわれる夕日を見てほしいな」と話していた。太平洋を見下ろす山の斜面の広がるノスタルジックな街、九フンをすすめた人も多い。台北駅から鉄道とバスを乗り継いで約1時間。日帰りでも十分楽しめるスポットである。

飛行機と空と旅 若者に人気の淡水と(左)と、ノスタルジックな雰囲気が魅力の九フン

21:55 羽田空港到着

 帰国便では、ミールサービスが終わって、いつの間にか眠ってしまったようだ。時計を見る。時刻は夜の9時半を回ったところ。窓のシェードを開けると、眼下に東京湾の見事な夜景が広がっていた。私は地方から国内線を利用して東京へ戻る場合に、いつも好んで遅い時間に羽田に到着する夜間フライトを利用する。東京湾の夜景を見るのが楽しみだからだ。いま目にしているこの光景は、旅のしめくくりとして羽田からの弾丸トラベラーに用意された最後のプレゼントなのかもしれない。

飛行機と空と旅 旅の終わりにふさわしい東京湾の見事な夜景

著者プロフィール:秋本俊二

著者近影 著者近影(米国シアトル・ボーイング社にて)

 作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにレポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。

 著書に『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。

 Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。


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