近ごろよく目にする「映画コメンテーター」の素朴な疑問映画ウラ事情(1/2 ページ)

» 2012年11月01日 08時00分 公開
[クランクイン!]
クランクイン!

「映画ウラ事情」とは:

総合エンタメサイト「クランクイン!」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、クランクイン!より転載しています)。


クランクイン! LiLiCo

 最近、「映画コメンテーター」という肩書きをよく見かける。それはおそらく、トーク番組「しゃべくり007」に出演した映画コメンテーターのLiLiCoが、お笑いグループの我が家・坪倉とキスをして芸人のように体を張っていたり、映画コメンテーターの有村昆が元日本テレビキャスターの丸岡いずみと結婚するなど、短期間で一気に露出が増えたからだろう。

 では、その映画コメンテーター、いったいどういう仕事で、どうやったらなれるのだろうか。映画業界の人間に聞いた。

「かつては淀川長治さんや水野晴郎さん、小森和子さんなどが、『テレビで映画を語る人』として第一線で長らく活躍されていましたが、1990年代以降、『テレビで映画を語る人』と聞かれて思い浮かぶのは、おすぎさんくらいではないでしょうか。彼らは映画を案内する映画案内人であると同時に映画評論家でもあり、豊富な知識と豊かな見解で、難しい映画でも世の中の人に広く映画を知らしめる役割を果たしています。一方、近年の映画コメンテーターとは、世の中に映画を広めるという役割は変わらないものの、映画の深い知識よりも、お茶の間的感覚でアピールできるという部分が重要になっていると思います」

 そして、こう付け加える。

「かつての映画評論家の方々は、『映画史においてこの作品がどういう位置付けになるか』、引用やオマージュ、作品の背景などを掘り下げて、客観的な考察を分かりやすくかみ砕いて提示していたのに対し、昨今の映画コメンテーターが求められているのは、『作品がどういうもので、どう思ったか』という個人の感想であり、そこからトークを広げていくこと。知識よりも話術が重要です」

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