第54鉄 乗り物いっぱい富士山めぐり(前編) 富士登山電車とオープンバス:杉山淳一の+R Style(4/4 ページ)
2011年7月1日、「富士山駅」が誕生した。この周りには、あの水戸岡鋭治氏デザインの電車や機関車トーマスのテーマパーク、水陸両用バスなど楽しい乗り物がいっぱい。その魅力を前後編でお届けする。
オープンバスで富士山麓めぐり
富士急ハイランドも楽しいところだが、今回は富士登山電車で河口湖駅まで乗り通す。もうひとつのお目当てはバスだ。富士山エリアには、電車だけではなく、面白いバスも走っている。そのひとつがこれ、陸のカバこと『KABA BUS』。ハイデッカーの観光バスなのだが、よーく見ると、なんと屋根がない。オープンカーならぬ「オープンバス」なのだ。
『KABA BUS』は午前と午後の1回ずつの運行。富士山駅を出て河口湖駅に立ち寄り、富士山麓を周回して河口湖駅・富士山駅に戻ってくる。河口湖駅からの所要時間は約60分。コースは季節ごとに異なっており、私が乗った時期は夏のコース。河口湖畔、逆さ富士が見えるというポイントを通り、富士山が最もよく見えるという河口湖大橋を渡る。そして夏のスペシャルポイントは赤松林の森林浴。頭上を緑のトンネルが覆い、涼しい風と森の香りに包まれる。これはとっても心地よい。この日は富士山が見えなかったが、緑のトンネルドライブだけで満足できた。
森林浴コースの帰り道、スバルラインにはちょっとした「音の仕掛け」が用意されている。これには思わずニヤリとしてしまった。ぜひ、ドライブして体験してほしい。乗用車でも体験できるそうだが、重量のあるバス、それも、外の音がよく聞こえるオープンバスのほうが楽しめるだろう。
河口湖駅に戻ってきたら、ちょうどランチタイムになった。富士山といえば富士吉田の吉田うどんが思い浮かんだけれど、空腹に我慢できず、駅前のほうとう専門店へ。観光客目当ての駅前店なんて……と期待していなかったけれど、とてもおいしかった。
ゴキゲンな列車に乗って、楽しい観光バスに乗って、おいしい物を食べて……と大満足な旅。実はまだ、行程の半分だ。次回、後編ではチビッコも大好きなトーマスランド号と、もうひとつのユニークバスを紹介しよう。(後編へ続く)
今回の電車賃
JR東日本 新宿−大月 1280円
富士急行 フジサン特急フリーきっぷ 2200円 富士登山電車乗車整理券 200円
オープンバス KABA 1200円
以下、後編の交通費
富士山駅−旭日丘 富士急行バス 620円(後編)、水陸両用バス KABA 2000円 (後編)、旭日丘−富士山駅 富士急行バス 620円(後編)、JR東日本 大月−新宿 1280円(後編)
※東京からは、「河口湖・山中湖セレクトフリーきっぷ」(4500円)が便利。往復のJR運賃と富士急行フリーきっぷ、バスチケット(4種類から選択)のセット。(KABA 富士登山電車などは含まれない)
著者プロフィール:杉山淳一
肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」
日本工学院大学非常勤講師(テキスト商品学)。コンピューター系出版社でゲーム雑誌の広告営業を経験した後、フリーライターとなる。オンライン対戦ゲーム、フリーウェア、PCテクニカルライティングなどデジタル系の記事を専門とし、日本初のEスポーツライターとしてオンライン対戦ゲーム競技を啓蒙する。
趣味は日本全国の鉄道路線探訪で、現在の路線踏破率は約8割。著書は『もっと知ればさらに面白い鉄道雑学256(リイド社)』『知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)』『A列車で行こう9 公式ガイドブック(エンターブレイン)』『A列車でいこうDSナビゲーションパック(アートディンク:同梱冊子担当)』など。
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